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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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あっれー??

何やら、後編2つに分ける必要なかったんじゃないのか??と今更ながら修正をかけて思う。
いや、でもさ。ひとつが、長くなりすぎたし、この後の亘の段はやっぱり必要だし。
うだうだと、言い訳をしてみる。

親が子を想うように、子も親を想うものだとしみじみと思います。
若輩過ぎて、まだその辺の感情はおぼろげにしか解らないんですけどね。
お母さんという存在は、やっぱりコドモの中では大きいもんです。

ブレイブの亘もやっぱり、お母さんを想っていましたしね。
我が家の母上様はかなり、オンバ様で破天荒な方ですが。
やっぱり「お母さん」だなぁと思ってみたり。

なんて、ぼんやりと思っているから亘の段が後日になるんじゃん!

す、すみません・・・すぐ、近いうちにあげます。


ー文中補足ー
囂しい(かしましい・かまびすしい)・・・・・うるさい、と同じ意味で!すいません、解りにくい漢字あててしまって!

水干(すいかん)・・・・ううむ、解りやすい説明は「千と千○の神隠し」のハ○様が着用していたものです。個人設定で細かい柄設定とかあるんだけど・・・・誰も聞きたくないよな・・・・!

白緑色(びゃくろくいろ)・・・・字のまんま。白ベースにほんのりと薄い緑がかかるような色味。

赤丹色(あかにいろ)・・・・・紅、と呼ばれる色に朱の色を混ぜた少しくすんだ赤、というところでしょうか。

黒碧色(くろみどりいろ)・・・・まんま、です。ほんとは黒緑、と書くんですがね。黒にやや、濃い深い緑が混じった色味です。

稲荷秘文(いなりひもん)・・・・実際にあります。これさ、説明すると長くなるんですよ・・・・!今回は入れ替えたり、けずったりしてますけどね。狐草紙が終わったら、つらつらと書こうと思います。             

狐草紙異聞ー憂婦女の項ー(後)美鶴の段
 
 
 
ざぁぁぁぁ、ざぁぁぁぁと雨に紛れて不愉快な気配が二つ。
まずは、ひとつ。
今度は、嫌悪にも似た感情で背後の気配に声を叩きつける。
 
「白蔵主、盗み聞きとはなかなかいい趣味だな?」
「なぁに、帰るつもりはあったさ。じゃが、些か気になる気配がひとぉつ、してな」
 
ほっほ、と相変わらず好々爺然としているがいつの間にか、俺の横に立つ老弧の眼は笑ってはいなかった。
そして、ふたつめ。
 
「憂婦女、じゃな」
「とるにたらん、アヤカシだ。放っておいてもいいだろう」
 
が、啼き声がここから離れた。
誰かに憑いて行ったのであれば、一番面白くない解答が用意されている。
 
「我が子に妄執を抱く親は存外強いものじゃよ。それが母親であればなおさら、な。おぬしはよく解っておろう?」
「さぁな」
「美鶴、おぬしが眠りから覚めて、ここは道筋が開いておる。只でさえ、アヤカシどもが騒ぎやすくなっておるのだよ。あの御子はおぬしに関わることで、アヤカシどもに眼をつけられたようじゃな」
 
おぬしがヒトに関わるのも珍しいことだ、と憂婦女が飛びたった先に視線を遣ったままぽつりと、付け足される言葉。
 
   「ヒトに関わるのも珍しいことだ」
 
ふいに、あの時俺に手を差し出してくれたあの方の声が響く。
 
「妹御を、助けたいかぇ?しかし、そなた自身を差し出さねばならんよ」

優雅な、だけども選択肢を選ばせない響き。
もう、随分と昔のことだ。
 
「今でも、ヒトは嫌いだ」
「そうか。では、どうする?あの御子、獲られるぞぃ?」
「10年振りに、暴れるのも悪くない」
「ほんに、可愛げのない。では、留守を預かってやろう。どうやら儂を気に入らぬ輩どもがおるみたいじゃからの」
 
薄い闇が拡がり始めた中、蠢く気配どもが揺らめく。
 
「礼を言う」
「そうさな。ひとつ頼まれて欲しいことがあるのでな。では、それでお相子としようかの」
「わかった。一時、社を頼む」
「承知」
 
社を後にすると、背後で囂しい嗤い声が響く。
あの老弧は、本当に喰えない。
だから、できるだけ遣り合いたくはない。

きききぃぃぃっ、

背後から忍び寄ってきた、アヤカシを握り潰す。
拡がる、紅。雨に滲む朱。
 
そう。あの日も、鬱陶しいくらいの雨だったな。
 
こんな雨の日はいくら視ない様にしていても、記憶のカケラたちが俺の奥底から這い出して、幻だけを遺して
消えていく。
 
(ごめんね、ごめんね美鶴)
ヒトに恋した母さま。
(赦しておくれ、美鶴)
母さまを赦せなかった父さま。
(あにさま、あにさま)
血の海に沈む妹。

何もできず、佇むことしかできずにいた俺。
 
白緑色の水干の袖が紅い紅い血の色を吸って赤丹色に染まっていく中、自分の意識は黒碧色の感情にじわり、じわりと浸蝕されていく、おぞましい感覚が鮮やかに甦ってくる。
 
  「あにさまは、紅いお着物がよく似合うねぇ」
    (誰か、妹を。妹だけでも、助けて)
 
ひとつ、息を吐く。できるだけ、ゆっくりと、永く。
昔、のことだ。随分、昔の。
雨は、いらぬことを憶いだすから嫌いだ。
未だ、雨の中にひとり取り残されている自分が嫌だ。
 
過去の幻の残滓から、意識が今の俺に還ってくる。
雑多な臭いの中。
微かに残る、不快ではない臭い。
ふん。
あの考えなしで、愚かで、お人好しの臭いを見つけた。
憂婦女に獲り込まれる直前に、首根っこを掴んでやる。
 
「え?」
ぼんやり、と焦点の合わない亘を見ると苛々した。

「おい、それがお前の母君か?随分な母君だな亘」

(ごめんね、ごめんね美鶴)

女の紅く、染まった着物が嫌だ。
紅は、血の色を憶いだす。
 
でも。
 
俺は、泣かぬ花嫁人形のように。

(あにさまは、紅いお着物がよく似合うねぇ)

紅い、朱い血の色を身に纏う。
 
「亘、お前そいつの雛、になってやるのか?随分と人のいい」
「み、つ、る?」
やっと、呼ばれる自分の名にひどく安心する。
亘、だ。亘が、戻ってきた。

「三橋、の小童が私の坊やに何をする!」
「何をするも、お前こそ。これは、お前の子ではない」
 
まだ、憑かれて間もないか。
なら、大丈夫だろう。まだ、亘の母親を助けることができる。
もうひとりは、現世にいない方がいいだろう。
 
「あんたも、送っちまうことになるけど、いいのか?」
「何を言う、」
「お前じゃない」
 
(うん、ずぅっと、私ここにいちゃいけないって思ってたの。お母さんは私を視てくれなかったけどね)

上にあがることもできず、縛りつけられたままここに留まることになった魂。
仔を想う母親、の想いは怖いものだ。そして、強いものだ。
 
「おねえちゃん?」
 
(亘、お母さんを護るんだよ?私、もう行っちゃうんだから。よかった、やっとお母さんを自由にしてあげられる)
(さようなら、お母さん)

さようなら、と伝えたかったのは母親にだろうか?憂婦女にも、伝えたかったんだろうか?
 

「いやぁぁぁ、だめよ!だめぇぇぇぇ!!三橋殿、おやめください、私の子供たちを獲らないでえぇぇぇぇ!!!」
「煩い女だな。もともと、お前がどんなに依り代のウツワを攫ったとしても。魂を獲り込もうとしても。お前の雛は孵らんさ」
「やかましい!!!」
 
孵らんさ。だって、お前も、雛も。
すでに、この現世ではカタチすら取れないのだから。
哀しい、想いが寄り集まってお前と言う存在が産み出されたのだから。
喪くした子供を捜して、彷徨う、淋しい現象なのだから。
 
「美鶴、お母さんに何するの?乱暴はやめて!!」
「うるさい、少し黙れ」
 
力任せに憂婦女の本体を亘の母親から引き剥がす。
憂婦女と同化しかかっているが、おそらくこの程度であれば問題はないだろう。
 
ぶちり、ぶちぶちぶちぃぃぃぃ、
 
引き剥がす時に肉が裂けるような音がする。
 
ぎぃぃぃいぃやぁぁぁぁ、ぎぃぃぃぃいぃやぁぁぁぁ、
 
甲高い断末魔が亘の母親の口から漏れる。
断末魔、のはずなのに慟哭にすら聴こえるのはひと時の感傷のせいか。
 
(早く!私も一緒に行くから!送って!)
 
「おねえちゃん?おねちゃん、待って」
 
駆け出そうとした亘を押さえ込んで、片手で青い焔を創りだす。
青い焔にかつて、この現世に生まれでる筈だった仔の魂を。
そして。
仔を喪くした母親たちの妄執と呼ぶには、哀しすぎる想いをのせて。
葬送の詞を。
 
天地開闢て此方。国常立尊を拝し奉れば。
あめつちひらけてこのかた。くにたちのみことをはいしまつれば。
 
天に次玉。地に次玉。人に次玉。豊受の神の流れを。
あめにつくたま。ちにつくたま。ひとにやどるたま。とようけのかみのながれを。
 
宇賀之御魂命と。出生給ふ。永く。神納成就なさしめ給へば。
うがのみたまのみことと。なりいでたまふ。ながく。しんのうじょうじゅなさしめたまへば。
 
高空の玉。神狐の神。鏡位を改め。神寶を於て。
こくうのたま。やこうのしん。きょういをあらため。かんたからをもって。
 
七曜九星。二十八宿。當目星。有程の星。
しちようきゅうせい。にじゅうはっしゅく。とめぼし。あるほどのほし。
 
夜の守。日の守。大成哉。賢成哉。
よのまもり。ひのまもり。おおいなるかな。けんなるかな。
 
稲荷秘文慎み白す。
いなりひもんつつしみもうす。
 
 
最後の一節とともに、空に送ってやった。

最期の焔の揺らめきの中に見えたのは、女たちの安堵の笑み。
そうして、遺していく者たちへ向けた儚い微笑。

          (ありがとう)


     殻から生まれでた、雛鳥たちは飛び立つ空に焦がれて。
     いつか、羽ばたくことを待っていたのだと。

――――――――誰かが、淋しく微笑った。
 
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