忍者ブログ
このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
[361]  [360]  [359]  [358]  [356]  [355]  [354]  [353]  [352]  [351]  [350
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

いやいや、はやはや。
 
ここ最近、サマーウォーズの文庫本(つばさ文庫じゃないやつ)を知り合いから借りて読んでみた。
 
でもまだラスト数ページが残ってるんだけども。
 
うん、映画を観てなくとも楽しめる小説だと思う。こまかーいところで映画の補完してたり、映画では主人公が言うセリフを佐久間君が言ってたりして、「ほほぅ」と思った。
 
佐久間って、うん。良い立ち居地にいてくれるよなぁ・・・・動かしやすいなぁ・・・・!
あ、これは某素敵サイトの影響か(笑)
 
そーだよ、キミだよIの君(ぷっしししし)
 
そんなこんなで「ほーぅ、アリだな、これは」と思ってちょいと。
考察にならないぼやきよりも、もややーんとSSモドキが浮かんできてしまったので。

・・・・・・・・、ほんとに自己満足以外ナニモノでもないと思うシロモノです、すいません。

あ、でも。自己満足の中でも、どーしても言わせたいセリフをとある殿方に言わせられたので楽しかったですとも!

おめー、おばっ・・・・・!てのは、聞かないでください(いや、まぁ、ごにょり)

いやでも!書いてみたい方向性がね!カブってたからね!
こー纏めようとね!してさァ!
 ははは、後にも先にもサマウォ書くのこれだけだし、こーいうのちょっと書いて見たかったのでご容赦下さい。

でも力量不足かつ、突貫でやったんで、非常に粗さが目立つモドキになっておりますので・・・・・!
生温かい眼で読んで頂けたら、幸いです。

しかも、紛うことなき
夏健+αで十年後かつ、りんごーん!りんごーん!当日なのですよ、これが。
 
上記で「あ、だめだわー!」と思われた方は、スイマセン、読まない方がよいかと・・・思いますです。

取り敢えず、山ほどある言い訳はまた後で。
 
「どんとこーい!」の覚悟がある御方様。
 
良ければ、どぞ。
 

僕らの夢のあと


まさに、手持ち無沙汰。
ぶらぶら出歩いて迷ったオノレにも非があるんだろうけど。

あ、

かちり、と液晶画面をセットする。

「あ、こら!恭平!!!もーーーー!祐平も!!了平は?あぁ、もーーーーって。あら、ごめんなさい。あぁ、ソレ!使うの?やだ、回ってる!?おめでとうーーー!!」

眼鏡をかけた、まぁ、アレだ。
実に健康的な(多分)女性がけららと笑いながらハンディに向ってひらひらと手を振る。


「由美さぁーん!こんなとこにいた!もーぅ、って!!へ?あ、あの?」

ぺこり、とお辞儀する。

「ほら、アノ!奈々ちゃんも一言!」

あぁ、と頷きながら短い髪の毛のハネを整えつつ(もう、ハンディ回ってるんだけど)こん、と咳払いをひとつ。

「おめでとう御座います!!あー、えーと!本日はお日柄も良く、ってえーと、ナンカ長くなっちゃいます、よ、ねぇ?」

オレに聞かれても、と思うけど苦笑いで誤魔化した。

「でもねー!ほんーんと、ここまで長かった、というか。なんかイマイチ実感がない、とか。ねぇ?」

「ですねー」

顔を見合わせて、笑いあう。同感、あ。

・・・・・・・・、言わぬが仏か。ウシロ、ウシロ。

「由美ちゃん、自分の準備は大丈夫なの?奈々ちゃん、お赤飯そろそろじゃないかしら?」

ぴりり、と場の空気が揺れた気がするのは気のせいじゃない。

黒留袖をきっちりと身に纏ってるかと思えば、あくまで品良く襟が抜いてある(所謂、衣紋抜き)ところは流石、と言うか。

「あ、はい!!!あ、の。失礼しまーす」

「すみません、み、見てきます!!」

ぱたぱたと忙しなく走り去っていく二人に、御婦人は控え目に。
だけど長い溜め息を、ついた。

「ごめんなさいね。こんな御目出度い日に、お見苦しいとこ、見せてしまって。まったく、夏希も此処からでなくても、いいのにねぇ?でも、母さんのとこから、がいいのね、きっと」

ふふっ、と笑みで緩んだ眼元に僅かに光ったソレに、気付かないフリをして遣り過ごす。


わ、

ぼーっ、としてたから音声だけになってしまっていた。慌てて、一時停止にする。

「おかぁさーん!ちょ、ちょっと!!来てぇーっ!あたしって、色無地の方がいーのぉ!?」

「はいはい、今行きます!理香!大きな声ださないで!そうそう。居間の方に健二さん、いたんじゃないかしら?あ、居間は、」

ねぇーーーーーー、とまた自分を呼ぶ声に眉を顰めながら、それでは後ほど、と会釈をして踵を返して行ってしまう。


・・・・・・・・・・・・・・・、え?ちょっと奥様?

振り返る。

えんえんえんえんえんえんえんえん、続く縁側。

振り向く。

みんみんみんみんみんみんみんみん、鳴くミンミン蝉。

かちり、と一時停止を再生にして半分ヤケ気味に自分撮りを開始しようとした、その時。


「こっち。居間に行くならね。それと、ソレ今録画しても意味ないんじゃない?」

にゅ、と指先だけ先に飛び出してきたから、少し。
あくまで、少しだけ、驚く。
だからじゃないが、声が咄嗟に出ない。

「まぁ、うん。そうか、オメデトーゴザイマス」

のそり、と納戸?から出て来た彼のヒトは。

長い前髪、日に焼けた細い身体。
無愛想極まりない、物言い。
窮屈そうに、首許のネクタイを緩める顰っ面。

初めて、初めて会うんだけど、多分、多分!!

なんか背後が喧しいけどまぁ、気にしない。

間違いない、これ、あのキング・カ―――、

「あ、師匠」

        は?師匠?

後ろからうそ臭いぐらい響く複数の足音と共に、ど突かれた(実際、張っ倒されたに近い)

「佳主馬ァァァァ!!おめっ、ちぃーっと見ねェー間にまぁぁぁたデッカクなったなァ、オイ。あん?こっちの兄ちゃんはアレだ。ん?ナンだ?」

ハンディを死守したオレを誰か褒めて下さい。

「あぁ!君、健二君の?いやぁーほんと。御目出度いねぇ、今日は!お誂え向きに、快晴ときたもんだ」

眼鏡を持ち上げながら、眩しそうに夏空を仰ぐ。

「あぁ、ンでも夏希にゃぁちーと、キッツイかもなァ。おい、万作、おめーまだイケるかぁ?おめーまでぶっ倒れたら、ハナシになんねーからな」

「万助兄さんに言われたくないんだけどねぇ。あ、ほら!この子、ぽかーんて!」

あぁ、やっと気付いて貰えました?ハンディを構え直す。

「おースマン。んじゃ、ま。おめっとーさん!」

「はい、おめでとさん。二世つき、じゃぁないだろうなぁ。あの調子じゃ」

「だろーよ。あいつにそんな度胸はあんめぇ」

笑うだけ笑って、二人とも酒はどこだ、と歩き始める。

「無事?ほら、立ってお兄さん」

はぁ、と溜め息を零しながら手を差し出すキングに後光を見る。やっぱり、キングだ。

キングはキングだったんだ!(意味不明)

ありがとう、と言う前にまたしても、オレのセリフは押し込められた。

「っダァァァァァァァ!どこだぁぁぁぁぁ!!夏希ィ!くっそ、あんにゃろぅぅぅぅぅ!やっぱ、ムカつくぅぅぅぅ!!俺ァ、ぜってー祝ってなんかやんねぇぇぇぇ!」

え、と不穏な雄叫びを残しながら金髪に近い茶髪のタワシアタマが、対の屋の縁側を爆走していく。

あーあ、多分。声拾ったなー。ま、いいか。再度、一時停止を押す。

「あのバカは放っといていいから」

・・・・・・・・、物憂げに。

きぃたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!キタよ、これ!
しぃまったァァァァァァァ!!!今の!!
今の、撮り損ねたぁああああああああああ!!!

声を上げそうになるのをオレは必死で押えた―――、って、は?なんだ、これ。

それから。

しばらく黙ってキングについて行くとガラス戸が突然、かららと開く。
その部屋が居間らしい、というのは騒がしい声が漏れてきてたから。

「お。佳主馬、健二君見なかった?もーそろそろなんだけどさぁ」

人の良さそうな眼鏡を掛けたタヌキ、いやいや。
全体的にまるっこいだけ、だな、うん。

「兄さんてば!察してあげないさよー!ト・イ・レ!絶対、トイレね、アレは」

妙に艶っ気があるオネーさんが指先に挟んだ煙草を灰皿に押し付けながら笑う。

「ハァ?っても、お前。健二君がいなくなってから、結構経つだろーが」

「アレでしょ、おっきぃ、」

「姉さん!もう、本人がいないからって!」

「多分トイレじゃないよ。母さん、あいつは?」

あっち、と指差された庭先で馬の尻尾がゆらゆら、じゃなくて。
綺麗に結われたポニィテイルが揺れている。

女の子が嬉しそうにまだ若い犬のお腹を撫でていた。
犬の方は眼の前のリボンとどうやって遊ぼうかと、落ち着きなさそうではあったけど。


「おい、離れろ。お前、またツムジに服汚されるぞ」

言いながら犬を引っ剥がしに、妹の許へ向かう。
いかにも面倒そうに、と見えるけど、却ってそれがワザとらしい。

いいお兄ちゃんなんだろうな、と思う。

「だってさー、あいつ!結局、肝心なこと言ってないんじゃなかったっけぇー?」

件のオネーさんが、ふん!と鼻息を荒くする。

ふむ。
そこら辺オレも聞きたいな、とまたも再生。

「大体さー、今回だってウチらが固めた?みたいなモンじゃない。あたし達がこーやって式やらをネジ込まなかったらねぇ!ちんたらちんたらちんたらぁぁぁ!何時になったことやら!アナタ、知ってるー!?あいつってばまだ、夏希の事『夏希先輩』って呼んでンの!ぜんっぜん駄目!駄目だわ、ありゃ!」

「健二君からプロポーズ、か。ちょっと、無理なんじゃないかな」

「もしかしたら、」

それまで隅で黙っていた渋めの男性が呟く。

「今際の際に言ってやる、とか」

「また映画?」

「いや。うる星やつら、の最終話」

そう言った顔はやっぱり、渋かった。

「あーもー!!!ほんっと!この十年間、あの子らナニやってたんだかァァァァァァァァァァ!!!!!」


「だから俺が呼ばれたんじゃねーの?」

ふ、っと現れたソノヒトに、ハンディを危うく落としそうになった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・、はいィ?



「佐久間、ナニこれ?」

唐突に渡されたハンディ。

「餞別だ。他にナニがあんだよ」

「あの、さ。えーっと、それなら今渡されても困るんじゃ?どうせなら、式のさっ、最中とかっ、に、」

余興で流してくれたら、とは言えなかった。
想像したら緊張してしまう(というか、内容にかなり不満があるのでこの案は却下だ!)


はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、と佐久間のこれみよがしな溜め息に自分の人生において最大級の舞台が、吹っ飛ばされそうで、文句を言うことにした。

「だいたい!直美さんの、トイレって!僕は大おばあさんに挨拶に行っててっ!!それに!紋服の着付けもして貰ってて!そりゃぁ、ちょ、ちょっと緊張して、はっ、い、る、けど!」

「お前の突っ込みどころって、ソコ!?まぁ、いーや。確かにやったからな、餞別。んで、返せソレ」

「ハァ!?ナニがしたいんだよ!そ、そっれに!ほっ、他にナニがあるって、」

「お前!棚からボタモチ的に!なし崩し的に!今のこの状況に胡坐かいてっと、ぜってー痛い目みるからな!ちゃんと、夏希先輩にプロポーズは?いーや!それ以前に、だ!」

佐久間が、一気に捲くし立てる。

「お前、まぁーだ『夏希先輩』って阿呆だろ!阿呆!!とっくに先輩じゃなくなってるっつーの!」

いや、それを言うならお前だって、と思うけど自分でもそれは屁理屈でしかないのは解ってる。

・・・・・・・・・・、痛いとこ突かれた、と思う。


いや、痛いも何も、そんなの今更だ。
十年前のあの夏の思い出から、ずっと、僕は。

少しは変われるんじゃないか、って期待もしてたけど、ずっと。
ツマラナイ男の、まんまだ。
きっと、ヒトリじゃ、今日のこの日も迎えられなかった。

いや、でも。僕だって色々考えがあって、というか。
もう、なんというか、どうあっても言い訳にしかならないけど。

黒紋服を着てみて、改めて思う。
いいとこ七五三にしか見えない、ってほんとどうすれば?


「おぉーい!!健二くーん!今っから、そっちまで緋毛氈敷くからなぁーーーーーっ!!!!頼むよー!」

「ひっ!」

頼彦さんに返事をしよう、と思うのにどうにも声が出ない。
こんなとこも、変わらず情けないと思う。

「はぁーい!!ぴっしゃぁぁぁぁぁっと!やっちゃってくださーいぃ!!!!」

「それ、僕のセリフなんですけど」

「よく言ぅーわ。お前、声出てなかったじゃん。ほれ、前向いてろ。そろそろだろ?夏希先輩出てくんのって」

佐久間が、しゃがみ込んで緋毛氈の皺を伸ばす。

     せんぱい。夏希、「先輩」

この日が決まった時。
夏希先輩が望んだ事、はほんとに先輩らしくて。


大おばあちゃんのとこから皆に送らて、嫁きたい、ただそれだけだった。


     もちろん、僕に異存は、ない。

あと、少し。
あと少しで、入り口玄関からこの数奇屋門まで夏希先輩が手を引かれて、やってくる。



う、わぁぁぁぁぁぁ!!!!!!な、なんか!!!


・・・・・・・・・・、あれ?


「佐久間」

「なに」

「なんでここにいんだ?」

「あ、夏希先輩!」

うぐえっ、と飲み込んだ唾がヘンなとこに入ってまたしても!不本意な声をあげてしまった。
玄関先からこの数奇屋門までそんなに距離はない。
って言っても緋毛氈一反分で10mぐらいは、あるんだけど。

しずり、と白無垢、綿帽子の先輩が緋毛氈に降り立つ。

    あぁ、やっぱり綺麗だ、と思う。

そうして。
にっこり、と笑って隣りの、おと、―――――おとぉぉぉっ!!!!???

克彦さんが難しいカオしながら夏希先輩の右隣で朱傘をかざす。
その後からぞくぞくと親族御一行が花嫁行列に加わる。

「おーい、生きてるかー?おーい、花嫁来るぞー。お前ね、ンな事でイチイチ魂飛ばすなよなー」

「ふふっふふふ!普通!!!あそっ!あそこってさ!おおおお、おとーさんじゃない、っけ?」

「ん?ありやぁどー見ても、夏希先輩のお父さんじゃぁ、ないよな」

「どどっどど!どー見たって!わ、侘助さん、に見えるんだけど!?」

「マァ、そーだろーな。良かったな、魂戻ってんじゃん」

「はぁ!?って!!さささ!!!佐久間!なんっ、ナニ撮ってんだ!!!!?」

一番見られたくない顔を、一番見られたくないやつに見られたその上に、録画って。
 
もう救いようがない、としか思えない。

佐久間が液晶画面からカオをあげると、じつーにイイ笑顔で宣う。

「ここはアレだな!アレしかないよな!男だろ!?よーし、行って来い!根性見せてこい!!」

ど突かれた、というよりも。
ほとんどはっ倒された、と言ったほうが正しいんじゃないかと思う。

「はうっ、」

前につんのめるカタチで、僕は夏希先輩の前に躍り出た。
こういうのが「文字通り」って言うんだろうなと呑気に考える余裕も、あった。
 
が、


「健二くん?」

「は、はい!」

返事をするのに、いっぱいいっぱいで。
汗がじっとりと流れて、気持ち悪いのにどうする事も出来なくて。
 
そのくせ、夏希先輩の手を取る侘助さんのその手が。
 
僕は、あまり、というか、かなり、というか、それなり、というか、やっぱり。
 
やっぱり、気分がいいものじゃない、なんて。
 
うわああああああああああああああ!
 
違うだろ!違うって!!!ここは強気に!!?む、むかつく、とか?
 
えええええええええええ、侘助さんに?ないないない、ナイイナイ、それはナイって!!
 
はぁぁぁぁぁ!?ナンだよ、どうしたいんだ、僕は!
 
       
くっ、ははははっ、
 
「へ?」
 
侘助さんの笑い声に、アッチにいっていた僕は一気にコッチに戻らされた。
 
「お、おじさん?」
 
夏希先輩、親族御一行もぽかーんと侘助さんを見てる。
侘助さんは、その間も笑いっぱなしだ。
 
あれ?侘助さんって、こんな風に笑ったっけ?
もっと、こう、なんていうか。
あの、「っ、ししし」笑いは。
 
「そうだ!ケンケンみたいだったのに。侘助さん、そんな風に笑えたんです、ね」
 
  つい、おかしくって、笑ってしまった。
 
痞っかえていたモノが取れたみたいに僕はスッキリした、ってあれ?
 
「キミ、ってさ。うん、だからだな。そうか、夏希に付き合えるワケだ」
 
侘助さんはそう言うと、ぶはと吹き出すという有り得ないサービスも見せてくれた。
 
「だからさー、言ったじゃない!やつには、ムリなんだって。こーなんていうの?『その手を離せぇぇぇ!』的な展開なんてムリだって!」
 
直美さんがものっすごく、疲れたような声をあげる。
 
「いや、離すも何も。侘助さんは夏希先輩の手を引いてただけ、ですし。そんなこと思いませんって」
 
9割以上嘘です、すいません。
思ってました、でも自分でもナニがナンだか解りません!
 
「侘助、おめーも。もうちっと、こぅ!あるんじゃねェのか?いや、なんだ。こじれても、アレだしな」
 
「万助さん、どっちだよ。俺だってさ、マァそれなりに?夏希の初恋のヒトらしいし?色々、ね。脚本はあったんだけど。どうにも、こうにも婿殿に、ね。してやられた、かな」
 
「ハァァァァ!?ンな、俺だってなァァァァァァァ!それなら、俺だって色々あったんだってぇーの!」
 
「話ややこしくするだけだろ、バーカ」
 
「てめっ、佳主馬ァァァァァ!!!!」
 
「あのっ、翔太にぃ、佳主馬くん、やめ、」
 
こうなると、この御一行様は収拾がつかない。みんな言いたい放題、やりたい放題、だ。
 
って、今日は僕と夏希先輩の結婚式だよね!
みんな聞いてる!?口では言ってないけどね!
 
あれ、そう言えば、なつっ、な、つ、き先輩、は?
 
案の定というか、侘助さんと手を繋いだまま俯く夏希先輩が映って、僕はまたしても、またしても、またしても固まる。
 
やれやれ、と侘助さんが僕に目線で促す。
 
むむむむ、無理ですって、ってとぶんぶんアタマを振った。

あぁ、十年前のあの日もそう、言っていたんだっけ、僕は。
 
妙に眩しくて、尊い、大切なヒトの、思い出。
 
 
―――あの子を、よろしく頼むよ
 
大おばあさん、すいません、僕は。
未だに、貴女に胸を張れるようなやつじゃなくて。
十年前も、さっきだって。
 
貴女に、ご挨拶に来たのに。
どうしたって、自分に自信が持てなくて。
ただの、ツマンナイ男で。
 
だけど、
 
―――あの子のこと、好きなんだろう?


そう言って、にかって歯を見せて笑うんだ。
 
はい。好きです。
すごく、すごくすごくすごくすごく、好きなんです。
 
だったら。だから、大丈夫、なんですよね。
 
 
「あのっ、」
 
「あああ、あのっ、」
 
僕と夏希先輩の声が被る。
正確には、夏希先輩の方が少しだけ早かった。
 
「あ、せ、せんぱい、どうぞ」
 
「あ、いーよ、健二くん。先に」
 
あ、いえ、ちょっと、勢いが、とか思ってるうちに。
 
「いいんじゃないか、夏希。レディ・ファーストってことで」
 
侘助さんが夏希先輩を小突く。
 
「え、ちょ、え、」
 
「あ、ぶな、」
 
ギャラリーが五月蝿いはずなのに。
やけに、静かになったなと思った時には。
 
僕はつんのめって来た先輩の手をぐ、と握ってた。
 
「わ、あ!すいません、すいません!!!」
 
慌てて離そうとした、その時。
 
「好きです!!!これからも、ずっと付き合って下さい!」
 
思いもしなかった、夏希先輩のその言葉の意味を理解するのに約3.86秒かかっ(以下略)
 
「へっ?」
 
「ハァァァァァァァァァァァァァァァ!?ソコからぁぁっ?ってか、ナンで夏希ぃ?」
 
「ななななななな、夏希ィ!?ナニ言って、」
 
「健二くん!」
 
ほっそりとした指先に、ぐ、と力が込められる。
 
「はい!」
 
「返事!」
 
「はい!!あのっ、そのっ、よろしくお願いしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ、す!」
 
 
・・・・・・・・、あの夏の日のように。
 
 
「えっ、」
 
「あ?」
 
「はぁ?」
 
「おまっ、結局オチはソレかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
佐久間が。御一行様が。
大袈裟過ぎるぐらいに肩を落としたのが解った。


だけど向かい合った夏希先輩はやわらかく、笑う。
 
 
十年。
あの夏の日からさして、特に自分は変わったとは思えない。
 
でも。 
そっと、お互いの指先を絡めて思う。
 
傍に居て手を握ることが、出来る。
蹴躓いたり、転びそうになった時に、一番に。
 
手を差し出すことが、出来る。
長い、長い、道を一緒に歩く事が、出来る。
 
数学オリンピックで優勝して世界一になるよりも、それは僕にとってずっと、ずっと、ずっと幸せだって事は、解るようになった。
 
あ。
でも、それも夏希先輩に釣り合うような男になりたったからであって、ってのは。
 
 
      ほんと、今と変わんないよなぁ。
 
 
手は繋いだままで、夏希先輩が僕の紋服を引く。
え、と思っていたら夏希先輩が耳元で囁いた。
 
 「だってね。あたしの名前も、プロポーズも。みんなの前で、あたしに言われるよりも先に聞かれるのって、もったいないじゃない?ね!」
 
 
     僕の、大好きな笑顔といっしょに。
 
 
 
All The Best For Your Future Together!
 
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
うおりゃああああああ!!!
な・・、夏健・・・!!!!!夏健だ!!!
なにこの陣内一族みんなの可愛すぎるテンション!!!!!
そ、そうか侘さんの笑いはケンケンだったんだ(笑!!!!

今際の際って・・・またもや、みなちんたらやってくれるんだからーーーーーーー!!!!!!ああ、もうどうしよう、健二くんも夏希先輩も愛しすぎる事この上ない。みなちん、素敵SSありがとーーーう!!!!!!
ままん 2009/10/23(Fri)23:01:29 編集
あわわわわわぁぁぁぁ!
あばばばば!母上!

な、夏健になっております・・・・か?すすすす、すいまっせーん!やっちまいましたぁ!
いや、もう多分書かないだろーな(頑)と思ったらもーぅ、こりゃぁ禁じ手の一手を打たねばなるめぇーよ、とか暴走しちゃいましたです。

け、ケンケンとか!うる星とか!(これはかなりやりたかった!)いやはや反応頂いてかなりの勢いで嬉しいですさーーーー!!!

こちらこそ、粗さがむんむんに目立つモドキに勿体ないお言葉!!ありがとうございますぅぅぅぅ!あ、狐笛!よ、読み始めちゃいました?(喜!)面白いと思います!ですが、ゆっくりお読みすることをオススメします!!

だって面白いので・・・!(意味不明)
いととさんもインフルにお気をつけ下さいねー!
コメントありがとう御座いましたぁぁぁぁ!
みな 2009/10/24(Sat)23:38:16 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
02 2024/03 04
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
みな
性別:
女性
自己紹介:
ひっそり、こっそりと生息中。もういい歳なのにかなりチキン。勢いだけでブログを立ち上げると言う暴挙にでました。
フリーエリア
フリーエリア

やっとバナーを貼り付けることが 出来ました・・・!
  2種類頂きましたので。   お好きな方をお貼りください。 このブログを読んで下さる方様で、奇特にもリンクして下さるのであれば、ご自由にどうぞで御座います。

URL:http://minaesleo.blog. shinobi.jp/

フリーエリア
ブレイブストーリー プチオンリー
やっと(超絶)応援・・・!
フリーエリア
VISON EXPO
ようやく(超絶)応援・・・!
最新トラックバック
最新コメント
[10/22 いとと]
[10/24 みな]
[10/23 ままん]
[09/29 みな]
[09/29 みな]
バーコード
カウンター
忍者ブログ [PR]