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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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こ、今回長いので・・・・って言うか切るとこ完全に間違った感満載です。
そうして、長々しい文中補足はまた、あげにきます・・・・!!

すんません、言い訳満載なんですが・・・・・・!!(毎回の如く)
よろしければ、お付き合い下さるお優しい方様・・・・・よろしくお願いします・・・・

 狐草紙異聞ー桂男の項ー(中)ワタルの段


うつつには 逢ふよしもなし ぬばたまの 夜の夢にを 継ぎて見えこそ
 
(うつつには あうよしもなし ぬばたまの よるのゆ(い)めにを つぎてみえこそ)
 万葉集第五巻 大伴旅人(おおとものたびと)
 
 
 
   「ちょっと、僕。喰べられていいわけ?」
 
 
へっ?これ、誰??
 
って、僕なんだけども。どう見ても、僕。
頭がこんがらがってきた。
 
・・・・・・何で僕が、3人もいるんだよ。
 
って言う前に、3人目の僕に言いたい。
 
「と、取り合えず。じ、地面から。で、てきたら?」
「ん。じゃ、エンリョナク」
 
とぷぅん。
ボクが、地面に潜った。
 
は?出てくるんじゃないの?
 
「か、桂男っ、亘が逃げちゃうっ」
「ちいっ、面倒な!」
イツカな僕が叫ぶ。
 
ぐぅわぁぁんっ、とイツカの足元の影が撓んだ。
 
 
ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああんんんんん、
 
イツカな僕の隣りに廻り込んだ桂男さんとは反対に3時の方向からボクが廻り込んできた。
桂男さんに掴まれたままの僕の魂はぶらんぶらんに伸びたり、縮んだり揺れる、揺れる。
 
・・・・・普通だったら、絶対酔ってるよね、これ。
 
ひゅぅぅぅぅぅんんんんっ、
 
地面から飛び出して、充分な飛距離を伴ったボク。
ボクの手が僕に伸ばされる。
 
「あはははっ!亘、しばらくボクのからだで我慢してねっっ」
「だめぇぇぇぇ!!!!」
「小賢しい!!」
 
ぱしぃぃぃぃ、と繋がる手のひらと手のひら。
 
僕はボクに。
呼び合うタマシイ。
交じり合うイシキ。
巡り合うリュウシ。
辿り着くカラダ。
 
  
       「ようこそ、亘。って言うか、僕」
        (えぇーと、お邪魔します)
 
とっ、と軽やかにボクと一緒に僕は地面に降り立った。
文字通り、地面に。
溜め息つきたいんだけど、きっと無理だ。
だって僕のタマシイはどうやら、ボクの影に収まったらしいから。
 
「ごめんね、そんなとこで。っつーか、逃げるよっ」(う、うん)
「逃げ切れる、と?」
「もちろん、ねぇそっちの僕。キミさ、ほら。まずいんじゃない?」
 
あははははっ、とボクが笑う声が僕に響く。
 
「っつ、何これ!!あんた、あたしに何したのよ!!」
「姫、落ち着いて」
 
ずぶぶ、ずぶり、ずぶり。
 
イツカな僕が、地面からにょっきりハエタ真っ黒い手に呑み込まれそうになってた。
 
・・・・・・・って、あれ僕のカラダなんですけど。
 
「ボクはキミの事、最初から気に喰わなかったからさぁ。ちょっとイヤガラセしてみた。はははっ、頑張ってねーっっ」
「っ、桂男!!追いかけて!!」
「後からいくらでも追えますので、」
 
って言ってる割に、桂男さんは苛ついてるみたいだった。
 
・・・・ねぇ後から被害を被るのは僕ら、だと思うよ?

それを見て愉快そうに笑うボクが、足元の僕に声を掛ける。
 
「じゃ、逃げるよ」(う、うん)
「絶対、絶対、逃がさないんだから!!!!」
「バッカジャナイノー」
 
あはははははははははははっ、
 
ワザと怒らせてるとしか言えない様な哂い声をその場に残してボクと僕は駆け出した。
 
バッカジャナイノ、か。
あれも、僕なんだし(中身は違うけど)
僕がボクにそんなこと言われるなんて思わなかった。
 
・・・・・・・なんかやっぱり、溜め息つけないのは不便だ。
 
*
 
ざざっ、ざざっ、ざざざっ、
 
さっきからボクは何かを捜すように、ススキの原を掻き分ける。
足元から僕はヘンな風に伸びながら、ボクを追う。
 
ざざざっ、ざざ、ざざ、ざっ、
 
(ねぇ、あの、さ。え、と。大丈夫かな、イツカ)
 
ざざ、ざざっ、ざつざっざざっ、
 
「あのさぁ、普通はあいつの心配じゃなくて。自分のカラダの心配じゃないの?」
 
ざざざ、ざざざっつ、ざざざん、
 
(う、ん。だけど今は、イツカは僕だし。それと、さっきの黒いやつ何?君は何を捜してるの?)
 
ふぅ、とボクは手を止めて、溜め息を浅く吐き出した。
少し、それを羨ましく思う。
 
「質問はひとつずつって、そんなユウチョウにもしてらんないか」(そうなの?)
 
「『そうなの?』ってねぇ、亘。ほんといっつも緊張感なさ過ぎだから!ったく。だから毎回ボクがどんだけ、苛々してきたか解る??」
(はぁ、スミマセン)
 
そうなんだ、ボクがそんなこと考えてるなんて思わなかった。
ざざざざ、とボクは止めてた手をまた、動かしだした。
 
「ボクはさ、このセカイで産まれたワタルなんだよね。まぁ、云わば亘の影だよ」
(ふぅん。じゃぁさっきの黒いやつは?)
 
ざざざ、ざざざ、ざざざざざ、
 
「あれ、驚かないんだ?」(うん、大抵のことはもう、慣れたし)
 
「あいつも、そう。亘のカラダを乗っ取った時に産まれた新しい影。だけど、あいつの魂はなんか、あいつだけじゃないんだよね。影もさ、誰か雑じってる」
 
だから、そいつにちょーっと協力してもらったと、楽しそうに哂う。

・・・・・・もうヒトリのボクってきっと、性格あんまりよくないんだろうな、と思う。
(このセカイじゃ、自分の他にもうヒトリ自分がいるの?不便だね)
 
ざざざざん、ざざざざざ、
 
「あのさ。亘ってさ、やっぱり抜けてるよね。アヤカシに影なんかあった?」(あ、)
 
そう言えば、なかった。桂男さんも、イツカにも影なんてなかった。イツカは魂だけの存在だから、影なんかなかったのかもしれないけど。
 
「いくら魂が違っても、亘のウツワはニンゲンだからね。魂が違えばボク以外の新しい影が産まれるさ。このセカイじゃさ、ボクも自由に動けれるみたいだし。だから早々に退散したんだよ」
 
あ――っ、もうっ、とボクが苛々しながらススキを蹴散らした。
 
「ほんとはさ、せっかく自由の身になれたし、どっかに行ってもいいんだよ、ボク」
(え、そうなの?)
 
「うん。それにさ、ボクら現世とは逆の立場って事わかる?亘は今、ボクの影なんだよ?ボクは亘のカラダを乗っ取ってるって事、解ってる??」
(あ、そうか。でも、キミは僕を助けてくれたし。)
 
はぁぁぁ、と僕がつきたくてもつけない溜め息を惜しみなくついてる。少し、羨ましい。
 
「そこ!亘がそんなんだからさ!!少しは、ヒト疑えっつーの!!ボクがこのまま亘を乗っ取るかもしんないじゃん!」
(そうかなぁ。キミは、しないよ。そんなこと)
 
「なんでさ?」
(キミは僕だから。キミはきっと。今、僕になったっていい事なんかないのを知ってるから)
 
現世でも、このセカイでも。
僕は、うぅん、僕らがそんなの一番解ってるじゃないか。
でも、案外それもいいのかも知れない。
このまま僕はボクの影に。そうして、どこか遠くへ。
 
(このまま、遭難しちゃう?)
「あのねぇ。ここ、山でも海でもないじゃん。なに、言ってんの、もう!」
 
あーぁ、とぼやくとまた、ボクはがさがさススキを掻き分け始めた。
半分は本気だったんだけど。
 
(で、なに捜してんの?)
「狐穴」
(キツネアナ?)
 
「うん。取り敢えずこのセカイから抜け出さないと、やっぱりちょっとマズイ。普通は『要御扉』ってのを通るんだけどさ。あれ、番人いないと開かないから。ちょーっと、抜け道通ろうと思ってさ。異世界を渡るのって案外、厄介なんだ。要御扉の番人の案内がないと迷うし」
 
(えーと、狐穴はどこでもドアみたいなモノなの?)
 
「まぁね。抜け道って言うか、ワープゾーンみたいなもん。何処に出るかはオタノシミだけど」
(僕は全然、オタノシミじゃないんだけど)
 
ざざざざざ、ざざざざざ、
 
僕の呟きはどうやら無視され、ボクの狐穴捜しが再開されたらしい。影になってみるとボクの感情と言うか気持ちが、直接僕に流れ込んできてなんだか奇妙な感じがした。
 
ボクは、とても焦っている。
僕はとても、穏やかだ。
 
空の真ん中には大きな青白い月。
揺れる、揺れるススキの原。
これは夢?現実?もう、どっちでもいいや。

僕はボクの影なんだからもうそんな事、気にしなくていいんだっけ。
なんか、影ってラクでいいのかも知んない。
 

「あーっ!!!あった!!!あったっ!!あったよ、亘っ」
(なんか、いやにあっさり見つかったねぇ)
「あのね!!ぜんっぜんっ、『あっさり』じゃないからね!」(あ、あぁうん。そうだね、ごめん、ごめん)
 
がさがさと、重なり合ったススキを鬱陶しそうに掻き分けていく。ぽかり、とまるい真っ黒な穴が現われた。
 
それは、ひっそりとそこに在った。
なんだか、いま空にある月をそのままここに移した様で。
真っ黒でまんまるな月が、青白くてまんまるな月と丁度合わせ鏡の様に、対で存在しているみたいだった。
 
影の僕が雲間から出てきた月に照らされて、ぞわりと奇妙に伸びる。
 
・・・・・・なんだろう、なんか、やだ。
 
この穴、なんか怖い。違う。穴が怖いんじゃない。
果てが、ない様に拡がっている真っ暗なこの闇が僕は怖い、と思った。
 
(ねぇ、ほんとにこれって狐穴?この穴でいいの??)
「もーう!なに言ってんの!!行くよ、ほらっ」
(ちょ。や、やだかもっ、ねぇ、なんかこの穴おかしいってっ!)
「こんな時にワガママ言わないでくれる??もう!オリジナルの亘に踏ん張られるとボク迄動けないんだからね!!」
 
ぎゃんぎゃんとそんな場合じゃないのは解ってるつもりなのに僕らはケンカを始める。
と言っても、人から見たら可笑しなヒトリ芝居だと思うけど。
 
静かに真っ黒な闇色の穴が、だけど確かにゆらりと拡がった。
見間違い、ならよかったのに。
 
今現在、出来ればご遠慮願いたい女の子の声、が。

「あーぁ、もうげんかーい。あたし待つのって嫌い。つーかまえたっ、亘っ」
 
穴の闇から聞こえた気がした。
ひゅうっとボクを横切る影が乾いた哂いを遺して、僕の上に立つ。
影踏みの鬼が、僕らを捕まえにやって来た。
 
「ちぇーっ、ボク動けないじゃん。なんだよ!じゃこれって、なんなわけ?」
「月の影、ですよ。よくご覧になりました?」
「うわ、そんなのってありぃ??すっげーズルイじゃん!!月の影なんて、反則じゃんっ」
 

うん、僕もそう思う。
月の影ってのは、いわゆる「皆既日食」ってやつなわけで。
普通は
太陽と月と地球が一直線上に並んで、見られる現象だけども。
それはあくまで「空」で見られるんであって。
 
「地面」で見られるなんて、反則じゃないか・・・・!(しかも、「地球で」って事が大前提だ!)
 
・・・・・・なんて思ってる場合じゃない、きっと、ない。
 
「あたしね、すっごく怒ってるの」
「へーぇ、そうなんだ?」(ちょ、ちょっと!!)
「でね。あたし亘は好きだけど、あたしの邪魔するあんた達は大っ嫌いって、思ったの」
「ふぅん?ボクもさ、勘違いしたお姫様はね。虫酸が走るぐらいだいっキライだよ」
 
だからどーしてそんな言い方しかできないのさ、なんてボクに思っても仕方ないのに。つい、思ってしまう。
 

ずっずっずっ、ずるっずるっずるっ、ずっずっずっ、
 
月が真ん中から西へ少し蠢く頃。
ススキの原の彼方から、もうひとりの紅い鬼がやって来る。
 
 
ずりっずっずりっ、ずっずっずっ、ずりっずりっずりっ、
 
「ねーぇ桂男、アレがそうなの?」
「そのようです、ね。やれやれ。こんなに早く、ご登場頂けるとは思いませんでしたが」


(親に先立つこの子らは、親を嘆かせ幾千日か
 
童にあれど罪深し
 
娑婆の双親 嘆き声 間近く聞きつつ石を積む
 
ひとつ積んでは母のため ふたつ積んでは父のため
 
みっつ積んではふるさとの きょうだい我が身と回向する)

「ねぇ、亘。あれって、さ。あれが、美鶴な、わけ?」(う、うん)


(罪を犯せし童ども  河を渡るを得るまじき

ひと石ひと石積み上げて 歪な塔を積み建てよ

虚空の塔を積むは親のため 汝らの不徳 穢れはこの赤鬼が赦すまじ 赦すまじ 

「問う」は何故にも哀れなる) 

ずるずるずるずる、ずるずるずるずる、ぴた、り。

独り言のように、小さく小さく唄を口ずさみながら。

綺麗な綺麗な紅い鬼、がやってきた。

詠われた唄はひどく、淋しくて。そして、どこかうすら怖かった。
くすり、と哂った眼に、ひどく静かな蒼い焔が灯る。

「相も変わらず貴殿は俺をもてなす事がご趣味の様だ。なかなか愉しい趣向だ」

びちゃり、と美鶴が引き摺ってきたモノを僕らに投げつけて寄越す。
紅い、紅い塊。かつて、ナニカであった者なんだ、と思う。

「おや、お気に召しませんでしたか?残念です。貴方とはどうやら、」

        ひゅ、

「ふ。はははっ、お前、そっちの方が『男前』なんじゃないのか?」

        べちゃ、

「薄汚い野狐が、ようも巫山穢た真似をしてくれたものだ」

美鶴から寄越されたプレゼントを受け取った桂男さんは見事に。
見事に、どす黒い赤の飛沫が身体に飛び散っていた。
白い桂男さんに、赤い滲みが穢れの様に刻まれた。

あれ。多分、ナニカ、の。身体の中の一部分だと、気付いた僕は吐き気がした。

「お前らが獲っていったもの。還して貰う、ただ」
「なぁにぃ?アナタなにそんなに怒ってるの?ねぇ、桂男」

イツカが、嗤う。
美鶴も、哄笑う。

    「お前ら、これから先。安らかな眠りはないと思え。久遠に」


(それでも積めや 親のため いびつな塔を積むうちは 親の思いは離れまい)

「ねぇ、亘。あいつって、美鶴ってさ。狐なんかじゃなく、絶対、さ」

            
              鬼、なんじゃないの?


            (親の嘆き 童の叫び に鬼は哭く)

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