このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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と、とりあえずいつもの如く、文中補足はまたあげにきますので・・・・!!
と、言うか現在24日なんですが・・・・じきに、25日になってしまう・・・・な。
取り敢えず、番外でやれよ、的なお話なのですが。
そこらへんは、生温かく、かつ華麗にスルーして頂ければ・・・・・とても嬉しいのです(とほほほ)
と、言うか現在24日なんですが・・・・じきに、25日になってしまう・・・・な。
取り敢えず、番外でやれよ、的なお話なのですが。
そこらへんは、生温かく、かつ華麗にスルーして頂ければ・・・・・とても嬉しいのです(とほほほ)
狐草紙異聞ー桂男の項ー(中)胡蝶の段
夕星(ゆうづつ)も 通う天道(あまじ)をいつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士(つきひとおとこ)
万葉集第十巻 柿本人麻呂(麿)
―――あるじに出逢った頃を、憶い出だしていた。
最初。
なんて可愛くない餓鬼だろう、と思った。
到底この餓鬼に仕官するのはムリだ、とも思った。
「いやですっ、姫様っ、わたくしは、嫌です!!」
「胡蝶、我が儘を言わないでおくれ。吾とて、そなたを外に出すとは思わなかったのだから」
朱色地の着物に、艶やかに咲く白い牡丹。
深い青みの強い緑に縁取られた黒い帯。
いやに綺麗な貌をした、このコドモは眼を閉じたまま。
一言も喋らず黙ってあたしと姫様の先刻から続く押し問答を聴いている。
このコドモはオトコノコ、だと思うのになぜオンナノコが着るような着物を身に纏っているのだろう?
凄まじく似合ってはいる、と思うけど。
その、いやに綺麗な貌をしたコドモが瞳を開いた。
金色、の眼に不覚にも見蕩れた。
「刑部姫、もういい」
表情ひとつ変えずに冷たく言い放つ。
「否、と申されても既に宣命が下りましたゆえ。美鶴殿も、だからこのような拙家においで下さったのでしょう?」
「そうですね、ですが。本人にその気がないなら、何を言っても無理でしょう」
「わ、わたくしはっ、ただっ、ひ。姫様が、いいので、す」
半分以上は本当だけど、本音を言うと。
本音は、なんであたしがこんな餓鬼の眷属として仕官しなきゃなんないだろうって言う不満だった。
こんな、天狐にもなってないコドモが(あたしより歳下だし)どうして「要御扉の番人」として社を持つ事が許されたんだろう??
あたしはコドモの尾守りなんか、ごめんだ。
「胡蝶、そなた少しは礼儀を弁えなさい。美鶴殿はこれからそなたの『主人』になるのですから」
「それは、わたくしは、まだっ」
「要りません」
言おうとしたセリフを遮って清々しいぐらいの拒絶の言葉が叩きつけられた。
「刑部姫、瑞花様には俺からこの件は白紙に戻す旨を奏上しますので御安心下さい。そうすれば、一族からも角が立たないでしょう。俺はこれで、失礼します」
・・・・なによ、それ。丁寧な言葉で包まれてはいるけれど。それでも、トゲは隠し切れていなかった。
「ですが、美鶴殿。社を賜った以上、眷属がいないと他の一族に示しがつきますまい。今回の除目を、面白く思っていない者も多いのですよ?」
きっちり礼をしてこの場から退出しようとしていたコドモが面倒そうに吐き捨てる。
「吼えるだけの御仁達にはうんざりしてますが。別に、どう思われようが俺は構いません。お飾りだけで使えない眷属も、要りません」
マテ。ちょっと、待て。
あたし、今、すんごくコケにされてるんじゃないの?
この餓鬼、とおっても可愛くないんですけども!!
「姫様っ、一週間!!!一週間、胡蝶は、お時間頂きたいと思います。わたくし、コノカタが仕えるべき『あるじ』かどうか見極めさせて頂きます!!」
「だ、そうですよ?美鶴殿」
「は?」
心底嫌そうに振り返ったコドモの眉間にはこれでもかっ、てぐらいふかぁーい皺が刻まれていた。
・・・・あたしにだって、「主人」を選ぶ権利はあるはずだ。
(胡蝶殿?)
「は?」
(胡蝶殿?どうなされました?先程から、心ここにあらず、と言うお顔をしてらっしゃいますね)
「あぁ、あらあら!失礼致しました。お耀殿、もうじきに彭侯様のお屋敷でしてよ」
ふぅぅぅ。嫌だ、なんだってこんな時に。
こんな時に過ぎる憶い出なんて大抵、良くない事を運んでくる。きっと、あのすかぽんたんなあるじのせいだ。
(随分、お慕いしているのですねぇ。そんなに御心配なさるなんて。私、あのようにぞんざいに扱われて黙ってるなんて出来ませんよ?)
くすり、
ぞんざい、か。
そうか。人から見たらそう見えるよね、やっぱり。
「ですよ、ねぇ。お耀殿もそう思われますか?わたくしも、そう思うんです。けど、あれは。あるじの精一杯、なんですよ」
*
また、だ。また、巻かれた。
何も言わず、突然ふらりと出て行ったあの餓鬼の気配の残滓を辿る。でも、結果はいつも同じ。いつも、見失う。
がらり、と社の扉を開けてぱたり、と草臥れた社の床に倒れ込んだ。
この5日間、あたしは眷属らしい事何ひとつ、してない。
(別に何もしなくていい。睡眠の邪魔はするな。帰りたければ、帰れ)
姫様のお屋敷から無理矢理ついて来て、それはもう、本気でびっくりした。
あの、さ。一応あたしだって家柄は悪くない。
それにあたしだって、白狐だ。狐のランクだってそんなに悪くない。なのに。
なんで、仕える「主人」の社がこんな幟ひとつない、鳥居ひとつない、薄汚い社なのよぉぉぉぉぉうっ!!!
おまけに「主人」であるべきはずの餓鬼は、仕事は一人でこなすわ、会話は成り立たないわ、ふらりとどこかに消えやがるわ、なに考えてるか解らないわ、で。
5日経った今でも、全然!!これっちぽっちも!!「仕えている」気が、まったくしない。
「あのくそ餓鬼、なぁんで『要御扉の番人』なのよーぅ、何も置いてかなくてもいいじゃないっ、うすらとんかちぃーっ!!!」
「悪かったな、『くそ餓鬼』な上に『うすらとんかち』で」
・・・・・・聞いてやがったのか。ってか、何時の間にいたんだ、ここに。
取り敢えず、身体を起こして姿勢を正す。
「あらぁ?いらっしゃったんですか?また、どこかへお出かけになったものとばっかり、」
「もう終わった」
「へ?」
やる、と言われて寄越されたモノに、手がでなかったのは本能だ、きっと。
「な、な、なぁぁぁぁぁぁ!!!!!何ですかぁぁぁぁぁ、これっ」
「狒々、だ。正確には狒々の皮、だが」
「はぁぁぁ???あんたね、何だってこんなモン持ってくんのよ!!」
狒々、ひひ。
人間のような姿をしているが、体が全身毛で覆われている、アヤカシ。人間を獲って喰う。歳を経た猿が変化したもの。
「肉は握り潰したからない。けど、そうか。確かに皮だけあっても仕方ないな。喰えないし」
・・・・じゃなくて。
「そう言う事じゃなくて、ですね。普通『狒々』なんてこんなとこにいないじゃないですか!どっから、獲ってきたんですっ」
「ふん。こんなとこにはいない、か。だろう、な」
「え?」
「いや、何でもない。疲れた、寝る。起こすなよ」
「はぁぁぁ??」
ごろりと転がると眼を閉じたまま、ありがたい御言葉を掛けて下さった。
「そうそう、別に俺は構わないけど。それ、片付けた方がいいんじゃないか?時間が経つと臭うぞ、その皮」
「!!!!!!」
帰る!!絶対に帰ってやるっ!!
これ片付けたら(別に、片付けなくてもいいんだけど)ぜっっったいに帰る!!
くそ餓鬼、憶えてなさいよ??
この胡蝶さんは怒らせたら怖いんだからねえぇぇぇ!!!
狒々の皮をひっ掴んだ時、ナニカが引っ掛かった。
ちょっと、待って?そう。狒々が、こんなとこにいる訳ない。
よく考えたらアヤカシが、仮にも官位ある狐に、喧嘩なんか売るはずがない。じゃぁ、どうして??ナニカ、おかしい。
幽かに雑じる、血の匂い。気付かなかった自分が情けない。
がらり、と社の扉を開け放つ。
夕星(ゆうづつ)も 通う天道(あまじ)をいつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士(つきひとおとこ)
万葉集第十巻 柿本人麻呂(麿)
―――あるじに出逢った頃を、憶い出だしていた。
最初。
なんて可愛くない餓鬼だろう、と思った。
到底この餓鬼に仕官するのはムリだ、とも思った。
「いやですっ、姫様っ、わたくしは、嫌です!!」
「胡蝶、我が儘を言わないでおくれ。吾とて、そなたを外に出すとは思わなかったのだから」
朱色地の着物に、艶やかに咲く白い牡丹。
深い青みの強い緑に縁取られた黒い帯。
いやに綺麗な貌をした、このコドモは眼を閉じたまま。
一言も喋らず黙ってあたしと姫様の先刻から続く押し問答を聴いている。
このコドモはオトコノコ、だと思うのになぜオンナノコが着るような着物を身に纏っているのだろう?
凄まじく似合ってはいる、と思うけど。
その、いやに綺麗な貌をしたコドモが瞳を開いた。
金色、の眼に不覚にも見蕩れた。
「刑部姫、もういい」
表情ひとつ変えずに冷たく言い放つ。
「否、と申されても既に宣命が下りましたゆえ。美鶴殿も、だからこのような拙家においで下さったのでしょう?」
「そうですね、ですが。本人にその気がないなら、何を言っても無理でしょう」
「わ、わたくしはっ、ただっ、ひ。姫様が、いいので、す」
半分以上は本当だけど、本音を言うと。
本音は、なんであたしがこんな餓鬼の眷属として仕官しなきゃなんないだろうって言う不満だった。
こんな、天狐にもなってないコドモが(あたしより歳下だし)どうして「要御扉の番人」として社を持つ事が許されたんだろう??
あたしはコドモの尾守りなんか、ごめんだ。
「胡蝶、そなた少しは礼儀を弁えなさい。美鶴殿はこれからそなたの『主人』になるのですから」
「それは、わたくしは、まだっ」
「要りません」
言おうとしたセリフを遮って清々しいぐらいの拒絶の言葉が叩きつけられた。
「刑部姫、瑞花様には俺からこの件は白紙に戻す旨を奏上しますので御安心下さい。そうすれば、一族からも角が立たないでしょう。俺はこれで、失礼します」
・・・・なによ、それ。丁寧な言葉で包まれてはいるけれど。それでも、トゲは隠し切れていなかった。
「ですが、美鶴殿。社を賜った以上、眷属がいないと他の一族に示しがつきますまい。今回の除目を、面白く思っていない者も多いのですよ?」
きっちり礼をしてこの場から退出しようとしていたコドモが面倒そうに吐き捨てる。
「吼えるだけの御仁達にはうんざりしてますが。別に、どう思われようが俺は構いません。お飾りだけで使えない眷属も、要りません」
マテ。ちょっと、待て。
あたし、今、すんごくコケにされてるんじゃないの?
この餓鬼、とおっても可愛くないんですけども!!
「姫様っ、一週間!!!一週間、胡蝶は、お時間頂きたいと思います。わたくし、コノカタが仕えるべき『あるじ』かどうか見極めさせて頂きます!!」
「だ、そうですよ?美鶴殿」
「は?」
心底嫌そうに振り返ったコドモの眉間にはこれでもかっ、てぐらいふかぁーい皺が刻まれていた。
・・・・あたしにだって、「主人」を選ぶ権利はあるはずだ。
(胡蝶殿?)
「は?」
(胡蝶殿?どうなされました?先程から、心ここにあらず、と言うお顔をしてらっしゃいますね)
「あぁ、あらあら!失礼致しました。お耀殿、もうじきに彭侯様のお屋敷でしてよ」
ふぅぅぅ。嫌だ、なんだってこんな時に。
こんな時に過ぎる憶い出なんて大抵、良くない事を運んでくる。きっと、あのすかぽんたんなあるじのせいだ。
(随分、お慕いしているのですねぇ。そんなに御心配なさるなんて。私、あのようにぞんざいに扱われて黙ってるなんて出来ませんよ?)
くすり、
ぞんざい、か。
そうか。人から見たらそう見えるよね、やっぱり。
「ですよ、ねぇ。お耀殿もそう思われますか?わたくしも、そう思うんです。けど、あれは。あるじの精一杯、なんですよ」
*
また、だ。また、巻かれた。
何も言わず、突然ふらりと出て行ったあの餓鬼の気配の残滓を辿る。でも、結果はいつも同じ。いつも、見失う。
がらり、と社の扉を開けてぱたり、と草臥れた社の床に倒れ込んだ。
この5日間、あたしは眷属らしい事何ひとつ、してない。
(別に何もしなくていい。睡眠の邪魔はするな。帰りたければ、帰れ)
姫様のお屋敷から無理矢理ついて来て、それはもう、本気でびっくりした。
あの、さ。一応あたしだって家柄は悪くない。
それにあたしだって、白狐だ。狐のランクだってそんなに悪くない。なのに。
なんで、仕える「主人」の社がこんな幟ひとつない、鳥居ひとつない、薄汚い社なのよぉぉぉぉぉうっ!!!
おまけに「主人」であるべきはずの餓鬼は、仕事は一人でこなすわ、会話は成り立たないわ、ふらりとどこかに消えやがるわ、なに考えてるか解らないわ、で。
5日経った今でも、全然!!これっちぽっちも!!「仕えている」気が、まったくしない。
「あのくそ餓鬼、なぁんで『要御扉の番人』なのよーぅ、何も置いてかなくてもいいじゃないっ、うすらとんかちぃーっ!!!」
「悪かったな、『くそ餓鬼』な上に『うすらとんかち』で」
・・・・・・聞いてやがったのか。ってか、何時の間にいたんだ、ここに。
取り敢えず、身体を起こして姿勢を正す。
「あらぁ?いらっしゃったんですか?また、どこかへお出かけになったものとばっかり、」
「もう終わった」
「へ?」
やる、と言われて寄越されたモノに、手がでなかったのは本能だ、きっと。
「な、な、なぁぁぁぁぁぁ!!!!!何ですかぁぁぁぁぁ、これっ」
「狒々、だ。正確には狒々の皮、だが」
「はぁぁぁ???あんたね、何だってこんなモン持ってくんのよ!!」
狒々、ひひ。
人間のような姿をしているが、体が全身毛で覆われている、アヤカシ。人間を獲って喰う。歳を経た猿が変化したもの。
「肉は握り潰したからない。けど、そうか。確かに皮だけあっても仕方ないな。喰えないし」
・・・・じゃなくて。
「そう言う事じゃなくて、ですね。普通『狒々』なんてこんなとこにいないじゃないですか!どっから、獲ってきたんですっ」
「ふん。こんなとこにはいない、か。だろう、な」
「え?」
「いや、何でもない。疲れた、寝る。起こすなよ」
「はぁぁぁ??」
ごろりと転がると眼を閉じたまま、ありがたい御言葉を掛けて下さった。
「そうそう、別に俺は構わないけど。それ、片付けた方がいいんじゃないか?時間が経つと臭うぞ、その皮」
「!!!!!!」
帰る!!絶対に帰ってやるっ!!
これ片付けたら(別に、片付けなくてもいいんだけど)ぜっっったいに帰る!!
くそ餓鬼、憶えてなさいよ??
この胡蝶さんは怒らせたら怖いんだからねえぇぇぇ!!!
狒々の皮をひっ掴んだ時、ナニカが引っ掛かった。
ちょっと、待って?そう。狒々が、こんなとこにいる訳ない。
よく考えたらアヤカシが、仮にも官位ある狐に、喧嘩なんか売るはずがない。じゃぁ、どうして??ナニカ、おかしい。
幽かに雑じる、血の匂い。気付かなかった自分が情けない。
がらり、と社の扉を開け放つ。
苛々した。どうしてだろう?見縊られたから?
騙されるな、惑わされるな、これは仮初めの為りモノだ。
静かに眼を閉じて、呼吸を整えてからゆっくりと、瞳を開く。
六道ヶ辻を往かなくても、ここに修羅界が在った。
うぅん、違う。ここは、地獄だ、きっと。
叫喚地獄。
六道ヶ辻を往かなくても、ここに修羅界が在った。
うぅん、違う。ここは、地獄だ、きっと。
叫喚地獄。
そこは紅い着物を着た鬼が罪人を様々な刑苦で苦しめると言う。
夥しい数の狒々達が、かつての姿を留める事無くただのモノとしてその躯を晒してた。
「なに、これっ、」
「へぇぇ、勘はいい方か。閉めろ、今夜は数が多くて面倒だったんだ」
「今夜は?面倒って?あの、これが最初、じゃないってことですよね?一人で片付けた、と。あたしを喚べばいいじゃないっ!!こんなの、宮の連中の嫌がらせじゃないのっ!!!」
「煩い、寝る」
かっちん、ときた。狒々の皮をくそ餓鬼に投げつける。
「なに、これっ、」
「へぇぇ、勘はいい方か。閉めろ、今夜は数が多くて面倒だったんだ」
「今夜は?面倒って?あの、これが最初、じゃないってことですよね?一人で片付けた、と。あたしを喚べばいいじゃないっ!!こんなの、宮の連中の嫌がらせじゃないのっ!!!」
「煩い、寝る」
かっちん、ときた。狒々の皮をくそ餓鬼に投げつける。
避けられる、事を見越して。
好機を逃すな、一瞬が勝負だ。
着物の裾を裂き払い、右脚を水平に薙ぐように餓鬼の頸に衝ける。
視線がかち合う。眼を逸らしたら、たぶん負ける。
「どぉして、黙ってるの??やられたら、やり返せばいいじゃない!!!あんた、馬鹿にされてんのよ?喧嘩、売られてんの!!悔しくないのっ??」
「お前に関係ないだろう。睡眠の邪魔はするな、と言ったろ。これ、どけろ。邪魔だ」
「あのねぇ!!あんた、あたしのこと馬鹿にしてるでしょう?何も出来ないって!!それとも、カヨワイ女の眷属はいらないのかしら??あたしだって、白狐なのよ?狒々ぐらい、」
「ち。ちがっ、違う!!!違う!!!」
ここから、思いっきり捲くし立てようとしたのに。
思いがけず、出鼻を挫かれてしまった。
このくそ餓鬼が狼狽えるところ、初めて見た。
「はぁ?何が違うのよっ」
「だから。別に。馬鹿には、してない、し。ただ。よご、」
れるじゃないか、とごにょごにょと口篭った。
よご、れる。よごれる、汚れる?何が?
、あ。
「着物、の事?」
「ち。がわないけど。だかっ、くそっ、面倒だ!!だから眷属はいらないって言ったんだ!!!けど、あの御方がっ」
ぶつぶつぶつぶつ、と言葉にならないぼやきを呟く。
自分が言いたい事もままならない。
まるで、コドモの癇癪だ。
そっか、そうか。
まるで、コドモの癇癪だ。
そっか、そうか。
いくら「要御扉の番人」だからって。いくら、お社を賜ったからって、中身はまだ。
中身は、コドモだ。だけど、忘れてた。
「くそ餓鬼」って散々罵った割には、あたしも全然解ってなんかなかった。
「くそ餓鬼」って散々罵った割には、あたしも全然解ってなんかなかった。
脚を、降ろす。狒々の皮を改めて拾い上げた。
「あのですね。私が狒々を握り潰すとでもお思いですか?しませんよ、そんな事。こう、するんですよ」
狒々の皮を放り投げる。
はたはたはたはたはた、はたはたはた、はたはたはた、
飛び交う、蝶たち。瞬いて、煌いて、虚空に消えていく。
「これ、胡蝶か?」
「はい。それは私の諱、でもあります。私、『お前』じゃないですから」
きょとん、としたこの可愛くないあるじに宣戦布告を叩きつける。
「だから諱で呼べって言ってるの!まったく、こんなわからずやの『あるじ』を持つハメになるなんて!!」
「なっ、」
「貴方は私の『あるじ』、なんでしょう?行きますよ、『売られた喧嘩は必ず買う』のが礼儀です!!」
大きく見開かれた金の瞳の中に映りこんだあたしは、どこか愉しそうだった。
うん。こんな、くそ餓鬼でわからずやの「あるじ」もきっと。
・・・・・悪くないな。
*
「で?おまいさんは、このまま黙ってあのわからずやの言う事を聞くのかぇ?」
心臓に、悪い。
あるじと言い、この方と言い、どうして沸いてでたがるのか。
心臓に、悪い。
あるじと言い、この方と言い、どうして沸いてでたがるのか。
「彭侯様、一体どこから沸いてらしたんです」
(あら。主様ったら。どうせ、退屈なさって屋敷から出てらしたんでしょう?)
ふふふっ、
赤い眼を細めながら、優雅に笑う。
「おや、失礼な。お耀、お主を迎えにきたのだよ?お主がいては、そちらさんも自由に動けまい」
(まぁ!!主様ったら!!そうなんですか??胡蝶殿っ?)
「いいえ、彭侯様。お耀殿をお送りするのは、あるじの仰せですもの。それ、に。今回、わたくしの出る幕はなさそうです」
『胡蝶、そちらの御婦人をお送りしてこい。後は俺が始末する』
「あのぼんくらに、言われました。自分の喧嘩の邪魔をするなって」
『追ってくるなよ?これは俺が売られた喧嘩だ。余計な手出しはするな。追ってきたら奴同様、叩きのめす』
「でも、彭侯様。わたくし、気に喰わないんです」
「ほう?何故だぇ?」
「あの、しみったれで、とんちきで、へなちょこ、のあるじが。下手な芝居をあたしに打ったからです」
あぁ折角、言葉遣い直ってたのに。
あるじの大馬鹿ヤロウ。
「態度、言葉、仕草、どれもがあたしを騙そうとしてた。それが、気に喰わない」
あたしが気付かないとでも思ったんだろうか。
明らかに、いつものあるじとは違ってた。
隠そうとすれば、するほど歪に膨らんだ憎悪が色濃く滲み出ていた。
悪い、徴候だった。
誰かが、止めない限りそれはどんどん悪化する、絶対に。
明らかに、いつものあるじとは違ってた。
隠そうとすれば、するほど歪に膨らんだ憎悪が色濃く滲み出ていた。
悪い、徴候だった。
誰かが、止めない限りそれはどんどん悪化する、絶対に。
何があったか、あたしは知らない。
知らなくてもいい事は、きっと知らない方がいい。
けど、あたしはあるじの「眷属」であろうと決めた時に誓ったのだ。
鬼は、アヤカシだけじゃぁない。
あの頃。悪意は、あのコドモのすぐ側にあった。
誰かが、護らなければいけないと思った。
それなら。
あるじが、あたしの「あるじ」である限り。
あたしはあるじに仕えよう、あのコドモを悪意と言う名の鬼どもから護ろう。
些細な事も、何一つ。見逃さないように、と。
「何も、オトコを待てる女がいい女、とは限らんだろう?」
「え?」
「おまいさん、そんな珠じゃなかろう?」
『追ってきたら奴同様、叩きのめす』
・・・・・・上等じゃない。
「彭侯様。売られた喧嘩は買うのが礼儀ですわね?ですが、」
「ほう?」
「女に手を上げる奴には、7倍返しが基本ですわ」
最初。
なんて可愛くない餓鬼だろう、と思った。
到底この餓鬼に仕官するのはムリだ、とも思った。
今もその気持ちは大して変わってない。
けど、
「彭侯様、お耀殿、行って参ります。あのこんこんちきをもう一度、躾直さなきゃいけないものですから」
「そら、愉しみだねぇ」(お気をつけて、胡蝶殿)
「えぇ、それでは、」
くすり、と笑みが零れる。あの日と同じように。
(そう。それも、悪くない、の)
鬼は、アヤカシだけじゃぁない。
あの頃。悪意は、あのコドモのすぐ側にあった。
誰かが、護らなければいけないと思った。
それなら。
あるじが、あたしの「あるじ」である限り。
あたしはあるじに仕えよう、あのコドモを悪意と言う名の鬼どもから護ろう。
些細な事も、何一つ。見逃さないように、と。
「何も、オトコを待てる女がいい女、とは限らんだろう?」
「え?」
「おまいさん、そんな珠じゃなかろう?」
『追ってきたら奴同様、叩きのめす』
・・・・・・上等じゃない。
「彭侯様。売られた喧嘩は買うのが礼儀ですわね?ですが、」
「ほう?」
「女に手を上げる奴には、7倍返しが基本ですわ」
最初。
なんて可愛くない餓鬼だろう、と思った。
到底この餓鬼に仕官するのはムリだ、とも思った。
今もその気持ちは大して変わってない。
けど、
「彭侯様、お耀殿、行って参ります。あのこんこんちきをもう一度、躾直さなきゃいけないものですから」
「そら、愉しみだねぇ」(お気をつけて、胡蝶殿)
「えぇ、それでは、」
くすり、と笑みが零れる。あの日と同じように。
(そう。それも、悪くない、の)
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