忍者ブログ
このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
[123]  [122]  [121]  [119]  [118]  [117]  [116]  [113]  [112]  [111]  [110
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

いやはや・・・・・すみませぇぇぇん!やっぱり間に合いませんでしたぁぁぁ!!

・・・・・置いといて(と、とりあえずは!)

思い入れの深い妖怪さぁぁぁんです、彭侯(ほうこう)って。出典は捜神記(そうしんき)より。
樟(くすのき)の樹木の精です。
えぇと、出しちゃいました、迷い家。いや、迷い家自体は妖怪ではないんですけどね!
妖怪のおうちーってことで。

えぇー必要だったかぁぁぁ??・・・・・と言われちゃえば。うん、必要なかったかも・・・・なーんて、ね。
とにかく、前編の前編モドキとしてこの項はさらさらーっとお読み頂ければ・・・・ありがたいです。
しかし、いつも伏線が回収できないクセしてぽんぽんと思わせぶりな、ナニカを置いていくのは・・・・

やめようよ、私よ・・・・・(そうして、後から首を絞めるハメになるんですな)

ーお節介な文中補足ー

先遣り(さきやり)・・・・前触れ、前兆・予兆

頻波草(しきなみぐさ)・・・・ススキの古い別称。尾花(オバナ)とも言う。

彭侯(ほうこう)・・・・人面で黒い犬の姿をした木の精。中国のアヤカシ。このアヤカシは日本にも渡ってきており、いくつかの文献にその名が見られ、1000年を経た大木に住み着くとある。

迷い家(まよいが)・・・・岩手県の遠野の山中、不意に現れる不思議な家「迷い家」。もしも、山中でこの家に行き逢ったら家の中から食器の一つでも持ち帰れば生涯ラクに暮らせると言う。







狐草紙異聞ー迷い家・ 彭侯ー先遣りの項
 
 
さやさやさやさや、さやさやさやさや、

寄せては返す波の様に揺れる、揺れる、ススキの原。
 
 
さやさやさやさやさや、さやさやさや、
 
僕の視界一面に揺れる白いさざ波。
 
「あれ?僕、あ、れれ?」
 
突然こんなとこに一人突っ立っている僕はあぁ、これは夢なんだなと思う。
だって僕はこんな場所知らないんだもん。
 
見上げた空には青白く輝く大きなまん丸の月。
・・・・・・ものすごく、大きくて少しびっくりする。
 
「にしたって、なぁ。どうしてこんな夢見るんだろ」
 
誰もいないと解っているけども、一人呟いてみる。
月が明るいせいなんだろうか?やけに、夜のくせに明るい気がした。
とりあえず、原っぱの真ん中にいつまでも居ても仕方ないし。
 
「こーんなススキの原なんだからさ。狐の一匹ぐらいいてもいいのにね」
 
ぶらぁり、ぶらぁりと歩き出しながらここにはいない誰かさんにぽつり、愚痴る。
 
あれから。
そう、お母さんにアヤカシがとり憑いて、美鶴が助けてくれて。でも、その後が大変で。
 
お母さんの入院、タナカリカコの入院(ケンサニュウイン、で済んだらしいけど)で千葉のおばあちゃんや、ルゥ伯父さん
が入れ替わり立ち代わりで僕んちに来るもんだから。
 
だから結局僕は美鶴のお社に今もまだ、行けずにいる。
 
でも、ほんとは少しだけ怖いのかもしれない。
誓って言うけど僕は、美鶴が怖いんじゃないよ。
 
美鶴は勝手にしろって、言ったけど。
あの時、明らかに美鶴は不機嫌で。
だからもし、もしも。
 
もしも、お社に行った時もまだ怒っていたら?
うぅん、鬱陶しがられて姿も見せてくれなかったら?
・・・・・それが怖いんだよ。
 
ぷちん、ぷっつ、ぷっちん、ぷ、
 
気が付くとススキの細いやつを選んで引き抜きながら歩いてた。束ねるとちょっとした、ほうきになりそうだなとぼんやりと思った。
 
「おや、珍しい。月見に頻波草でもと思うたらなんとまぁ、珍しいヒトの子に行き逢ったわ」
「しきなみぐさ?」

突然声を掛けられて、びっくりしたんだけどそれよりも先に口が動いてた。
なんだろ、しきなみぐさって。
 
ふふふふっ、と口元を着物の袖で隠しながら笑う綺麗なヒト。
うぅんヒト、なんだろうか?
 
「お前さん、持っているではないか。ソレのことよ。おぉ、丁度よい。ソレを私に譲ってはくれまいか?」
「え?え?これ?ススキの事ですか?」
「もちろん、そうだとも」
 
ふふふっと、笑うそのヒト?は。
黒の羽織りに、緑に藍色を混ぜたような着物をゆったりと着て、まるで女のヒトみたいに物凄く優雅に着物の裾先を擦らない様に持ち上げてこっちにやって来た。
 
そうして、ほわりとひどく優しげに僕を見る。
 
ほの白い肌に真っ黒な長い髪を片方でやんわりと結っていて、そのヒトがふふふっと笑うたんびに、さらりさらりと綺麗な髪の毛が揺れる。
 
あぁ、でもやっぱりヒトじゃないのかもしれない、と思う。
びっしり白くて長い、睫毛に縁取られた瞳の色がウサギの眼のように赤く輝いていたから。
 
「おや?どうした?私が怖いかぇ?」
「あ、いえ、違うんです。あの、えっとコレどうぞ」
「うれしや、うれし。ここの頻波草はな、なかなかに気難しいのでね」
 
片手であいすまん、と言いながらススキを受け取ると僕においでおいでをする。
 
「どれ、少し月見に付き合わんかぇ?」

やっぱり、やわらかにふふふっと笑う。
 
あんまりにも、そのヒトがにんまりと嬉しそうに笑うものだからって、訳じゃないけども。
ついて行っても、いいかなと思っちゃった。
悪いアヤカシ・・・・ではなさそうな、気がする。あくまで気がする、だけだけど。
 
まぁ。知らないアヤカシについて行っちゃうのは、今度からナシってことに・・・・・・しよう。
僕がついて行こうと足を踏み出した時、そのヒトはすこぅしびっくりしたみたいだった。

「じゃぁ、邪魔が入らないうちに。こっちにおいで」

今度は悪戯っぽく、くすりと微笑んだ。
 
*
 
しゅんしゅんと、茶釜が音を鳴らす。
ぱちり、ぱちりと炉にくべられた薪が爆ぜる。
炭があかあかと、照る。
 
うん、まぁ僕お茶の作法なんて知らないし。
出された物は怪しい物じゃない限りは、残さないようにしつけられてきたけど、ね。
 
ええっと、なんだろうコレ?
 
(早く、飲まないのかしら?飲まないのかしら?)
(無理よ。コドモじゃない。抹茶なんて飲んだ事ないのよ、きっと)
(そうかしら?)
(そうに決まってるじゃない)
 
「えぇと、あのぅ。お茶を出されておいてなんなんですが」
「どうした?」
「えぇーと、その。あの、僕ほんとにコレ飲んでいいんでしょうか?」
「問題ないと思うのだが、気になるかぇ?」
「えぇ、まぁ、ハイ」
 
だだだだって!!
茶釜やお茶碗、お茶筒なんかに手足生えてるしっ!
しゃしゃしゃしゃ、喋ってるんだ・・・・けども・・・・・!!
 
ふふふっ、とやわらかく笑う。
黒い長い髪もそれに合わせて、やわらかく揺れる。
 
「ほら、おまいさんたち。お客人はどうやら静かな方がいいみたいぞぇ。少しは静かにしてみたらどうだぇ」
 
(あら主様ったら。いつもそんな事仰らないのに!)
(おぉいやだ。私達に黙れと?おぉ、いやだ)
(ニンゲンのコドモのくせに生意気ね)
 
「あの、やっぱり。静かにしなくていいです、はい」
「おや。それは助かる。どうにも、黙るつもりはないらしいのでね」
「はぁ、い、いただきます」
 
あ、案外静かに飲まれてくれてる。
よかった、ここで騒がれたらこのお抹茶?吐いちゃいそうだったから。
 
・・・・・・うぇ、苦い。

「あ、えぇと。苦いですね、実際」
 
ふふふっ、とそれを見てそのヒトが笑った。

「そうだろうとも。苦いように点てたからねぇ。なに、存外慣れるとうまいもんだよ」
「はぁ、でもまだ、僕はいいです」

(失礼ね、失礼しちゃう)
(仕方ないわ、まだコドモだもの)
(でも、生意気だわ。小憎たらしいったら!)

ざわざわとお喋りを始めたお茶道具たちを放って置いて僕は通された座敷をぐるり、と見る。
改めて見るとこの座敷、広い。
ううん、通されて案内されてここまできたけど座敷も広いけど、このおうちって言うか、屋敷が広い。

だけど、広くて大きなこの屋敷にヒトの影はまったくない。
でも、そこらじゅうに、にぎやかな気配は・・・・・ある。

「あの、貴方のお名前って聞いてもいいんですか?」
「おや?もちろん。私はね、この迷い家の主の、っておやおや」

「お久しゅうございます、彭侯様」
「おやおや、せっかくあやつに邪魔される前に亘を連れ出したのに」
「ええっ、どうして僕のなまえっって、」
「つまらん。まだ、団子もだしとらんのに。お迎えだそうだよ、亘」

むすぅ、とススキのヒトがむくれる。

それとは反対にしずり、と綺麗に腰を折って一礼する薄い藍色の着物の女の・・・・ヒト?

「あるじに仰せつかって参りました」
「やれやれ。あやつのせっかちな所は、なかなか治らんものだな」
「それは、ワタクシもそうは思うのですが」

ふうっと、困ったようにため息をついた女のヒトが僕の方に向き直るとにっこり、と笑った。

「さぁ、帰りましょうか、亘様」

夢ながら、突然の展開についていけない。
って言うか、なんで僕の名前みんな知ってるんだろう?
僕って、そんなに有名なんだろうか?

「え、っあ、あのっ、なに、えぇええええ、これっ」

ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううっ。

女のヒトがひとつ、長い長い息を僕に吹きかけた。

はたはたはたはたはた、ぱたぱたぱたぱたぱたぱた、

一面に飛び交うイロトリドリの、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、たち。

はたはたはたはたはたはたはたはた、ぱたぱたぱたぱたたた、

その翅音に紛れてススキのヒトが僕に声を掛け、た気がした。

「そうそう、いいかい亘―――に――――るんだよ」

はたはたはたはたはたはたはた、蝶が邪魔だ、はたはたはたはた、

「え、なんですか。聞こえないんです。なん、」

イロトリドリの蝶たちのスキマからススキのヒトがふっ、とそれまでの笑い顔を消す。
すうっと、伸ばされる白い綺麗な指は屋敷の外の、いやに大きくて、青白い月を指差す。


    「いいかい。月に、気をつけなさい。月をあんまり見つめているとね、」


――――――――月に、攫われてしまうからね?

赤く、赤く輝くきれいな二つの瞳。
白い肌、真っ黒に長い髪。

でも、全部、全部雑じって、ぐるぐると廻る、廻る。イロトリドリのセカイ。
そうして、夢は終わる。
そうして、夢から醒めたらやっぱり忘れているんだ。

         大切な、こと。


ぴぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴぴ。

うるさい。いつもの、目覚ましの電子音が響く。

ぴぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴ。

「あぁぁ、うん、もう。もう夏休みなんだって、」

・・・・・・・?秋じゃなかったっけ??あれ?


「なんだ、これ」

手に握られた見知らぬお茶碗?に僕はびっくりしながら、ふぅあああああと欠伸をひとつ。

「とりあえず、起きよ」

そうして僕は、一日を始めるべくいざキッチンに朝食を摂らん、と足を踏み出した。


       
         月に気をつけなさい。月をあんまり見つめてるとね、

 くつくつくつ、嗤う声。密やかに、秘めやかに。             
 

           月を見つめていると?さぁ、どうだったかな?



PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ブログ内検索
プロフィール
HN:
みな
性別:
女性
自己紹介:
ひっそり、こっそりと生息中。もういい歳なのにかなりチキン。勢いだけでブログを立ち上げると言う暴挙にでました。
フリーエリア
フリーエリア

やっとバナーを貼り付けることが 出来ました・・・!
  2種類頂きましたので。   お好きな方をお貼りください。 このブログを読んで下さる方様で、奇特にもリンクして下さるのであれば、ご自由にどうぞで御座います。

URL:http://minaesleo.blog. shinobi.jp/

フリーエリア
ブレイブストーリー プチオンリー
やっと(超絶)応援・・・!
フリーエリア
VISON EXPO
ようやく(超絶)応援・・・!
最新トラックバック
最新コメント
[10/22 いとと]
[10/24 みな]
[10/23 ままん]
[09/29 みな]
[09/29 みな]
バーコード
カウンター
忍者ブログ [PR]