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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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あはははは!!・・・・・はは・・・・(乾笑)
ずどぅぅん、とへこんでみる。
すすすす!!

すみません、すみません!嘘ついたよ、私・・・・・!!
日付はぎりぎり、23日ですがね。PM11:45にあげるなんて、さ。
いや、もう自分の文才のなさとB級ホラーになりそうな勢いにへこんでみた。

いやぁぁぁ!!

まず、狐美鶴あんだけ?とか、もう先が読めそうな展開に自分がびっくり!とか。
もう、パラレル通り越してブレイブと別ものだよ・・・・とか。

なーのーで!軌道修正してました。
原作と少しでも(・・・・小さじ1/16程度)被るような、(どんな被り方だ!)シリーズになると・・・・いいな。
なんてね!!長く、なるやもしれません、皆様お付き合いして・・・・くれるかしら・・・・・!!

狐草紙異聞ー文車妖妃の項(中)-




『お前のそれ、早く返せよ』
 
最後にもう一度、聞こえた声が耳から離れない。
 
    僕は何を、返せばいいんだろう?
 
「じゃ亘、またあとでな!」
「またな、三谷」
「うん、またねぇ!」
 
カッちゃんと宮原と別れた後もずっと考えて、いつの間にかマンションに着いていた。
階段を登りきって僕のうちに眼を向けると。
誰か、がうちの前にうずくまっている。
朝、のあのお姉さんだった。
どうしたんだろう?
 
「あの、どうしました?」

聞こえなかったのかな?
そうして、僕は気づく。
お姉さんに表情が、ない。朝すこぅしだけだった影が、広がっている気がした。
「あの、何かうちにご用ですか?」
「け、いたい」
「はい?」
「携帯が、ね。携帯がないの。ねぇ、携帯。私の携帯、どこ探してもないの。携帯、がないと。だめなの、だめなの、」
 
こわ、い。

朝とはまるで違う。僕なんかまるで目に入ってはいない。
 
ただ、携帯、携帯、携帯、携帯、携帯、携帯、携帯、を探している。
 
携帯、とぶつぶつ虚ろな目で呟き続けている。
こわ、い。
 
「ぼ、僕携帯、見ませんでした!」

急いで鍵を開けてドアを引くとうちの中に転がり込んだ。
おかあさんは、いない。
いつもなら、この時間はいるはずなのに。
どうして?
 
こわいこわいこわいこわい、こわ、い。
 
心臓がばくばく言ってる。
急いで玄関の鍵を掛けて自分の部屋に閉じこもる。
怖くて膝を、抱えるとズボンのポケットに違和感を覚えた。
 
あれ?
何か、薄くて硬い感触が、する。
いやな、予感がする。
 
ポケットにおそるおそる手を入れて。
その、薄くて硬いシルバーの二つ折り携帯を見つけた時、

僕は。

僕はその携帯を握り締めると、
がたがたと、歯の根も合わないぐらいに振るえだした。
 な、んで僕が持ってる、の?
頭が混乱する。わからない、わからない、わから、ない。
     
       『お前のそれ、早く返せよ』
 
あの声が言っていたのは。
これ、のことだったんだ。
ぼんやりと意識が薄れていく自分にひどく安心して、いた。

 
      (ああ、嬉しい。貴方はやっと私に気づいてくれた)

「亘?わーたーる?起きなさい、お祭り行くんでしょう?」
「あ、れ。お、かあさん?」
「もう、亘ったら!帰ってきたと思ったら、ただいまも言わないで!」
「え?おかあさん、ずっとうちにいたの?」
「いたわよ。亘に声かけたのに、知らん顔して部屋に行っちゃったじゃない」

おかあさん、いなかったのに。
それとも僕、夢見たのかなぁ、と思っていたけど。
すぐにそれ、が夢ではない感触を僕に伝えていた。

そう、ポケットの中の携帯、は。

ひどく冷たくその存在を主張していた。できるだけ、冷静に。
声にだしたら、恐怖が更に。
襲ってきそうで。

「僕、そろそろ行くね。遅くならないようにするから」
「おこづかいは?いいの、亘?」
「うん、いい!」

この携帯を、早く下の、お姉さんの郵便受けに入れてこなくちゃいけない。
できるだけ、早く。
お姉さんに見つからないように。
僕は、ものすごく怖かった。この携帯の重さから、早く逃げ出したかった。
おそるおそる、玄関のドアを開けて誰もいないのを確認すると、物凄くほっとした。

だけど、結局僕は携帯を郵便受けに入れることはなかった。

だってさ。僕は、憶いだしてしまった。

お姉さんの暗い瞳が、今にも泣きそうだったのを。
こわい、けど。
お姉さんがあんなに必死に探しているんなら。
きっと直接手で渡して安心させて、あげた方が、いいかなと思った。

でもどうして僕が、この携帯を持ってるんだろう?
わからないけど。
でも明日返せばいいよ、ね。それか、母さんに頼んで渡してもらおう。

そっと、僕は手にした携帯をポケットにしまった。  

       (ああ、よかった。本当に貴方は優しいのね)
           (もう、離さないでね)


 *

お祭りの神楽舞いが始まったらしく、祭囃子の音がかすかに聞こえる。
僕とカッちゃんは、一通り夜店をまわったので、ぶらぶらと境内の人込みから退散し始めていた。
楽しいはずのお祭りなのに、僕は早く帰りたかった。

「何か顔色わりぃぞ、亘大丈夫か?」 
「うん、大丈夫だよ。ありがとカッちゃん」
そうかぁ?とカッちゃんが顔をしかめたから、慌てて話題を変える事にする。
 「結局、宮原見つかんなかったね」
「だな、こんだけ人が多いとだめだったなぁ」

カッちゃんはぶんぶんとヨーヨーを振り回しながら歩く。さっき夜店でオマケして貰った物だ。
「もう、カッちゃん危ないってば!」
「お!!すげー亘!見ろよ!」

くるり、からり。
くるくるり、からからり。
くるり、くるり。からり、からり。

和紙で、作られた藍、紅、鶸(ひわ)、萌葱(もえぎ)色の風車が風に吹かれて廻っていた。

「わ、ぁ。すごい!綺麗だね!」
参道のすぐ脇の手水舎の近く。
いつもは、おみくじを結ぶ為に渡してある細い注連縄(しめなわ)のところに、縫い留めるようにひとつひとつ結び付けられている。
「一個ぐらい、貰っちまってもわかんねぇんじゃね?」
「カ、カッちゃんだめ!」
「ほーら、共犯な?」

すいっ、と藍と紅の風車を抜き取ると、僕にぽいっと、紅い風車を投げた。
「もう!一個じゃないじゃん!」
僕は慌ててキャッチする。カッちゃんのこういうとこ嫌いではないんだけど、なぁ。       

          「お前、まだそれ持ってたのか」                                     

からり、からりと廻る風車に紛れて響く、あの声。       

         「そいつが、つけあがるだけだぞ」

びっくりして、辺りを見回すと。
綺麗な顔の少年が。
手水舎の柱に寄り掛かってこっちをじっと見ていた。

少年、なのに。
女の子が着るような振袖を身に纏う。
眼が覚めるような朱色の着物地には、艶やかな白牡丹。
深い青みが強い緑に縁取られた黒の帯は、後ろで縦にリボン型に華やかに結ばれている。

昼間朽ちたお社で視た気がする、眼が覚めるような着物。
ひらり、と少年が着物を翻してすぐ脇の杜に身体を滑り込ませる。
すぐに、少年は杜の濃い緑に紛れてしまう。

「あ、」
少年が、行ってしまう。
追いかけ、なくちゃ。
どうしてか、わからないけど。

僕は、追いかけなくちゃいけない気がした。

「カッちゃん!僕、帰る!じゃぁね!」
「は?亘??」

帰るんじゃねーのかぁ、とカッちゃんのもっともな呼びかけはこの際、無視だ。

月が、雲間からうっすらと顔をだして、辺りをほのかに照らす。
さぁさぁと、木々の葉ずれの音が静かに響き渡る。
からり、からりと。
僕の、手の中で廻り続ける紅い風車。
追いかけて、追いついたその先に。      

     あの、朽ちた稲荷のお社が、在った。         

      (だめよ、だめ、絶対にだめ)     
     (あいつは、私達の邪魔をしようとしているの)

「え?」          
「おい」
お社に掛かる一際大きな御神木の太い枝に腰掛けた少年がふわり、と僕の前に降り立つ。

宵闇の中で一際映える肌の白さ。
宵闇に薄ぼんやりと光りを放つ金の瞳。
女の子が纏うような、艶やかな着物。

ヒトではない、ナニカということはなんとなく解った。      

      「お前、俺が視えるのか?」 

びゅう、と風がそよいで木々を渡って行く。
雲間に月が逃げて行く。
遠くに響く、祭囃子の音。

「あ、あの、」

まるで、全てがすぐに覚めてしまう夢の様にゆらゆらと、揺らめく。
僕は、その場から一歩も動くことができなかった。  




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