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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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ほれ、みたことか・・・・とぼそりと呟いてみる。
もう、細かいツッコミは多々あり過ぎて収拾がつきません・・・!
だーれーか!・・・・助けてください。

そうして、本当に長く長くなってしまいました・・・・・!
あっれー、もう全然遊郭もんじゃないじゃんとか。
何、前置きだけはしゃぁしゃぁとしちゃってるんだよ・・・・とか。

思われた方、すみません・・・・・クレームは後で受付まする・・・・・
細かい文中補足はまた後日にあげにきますね。

読んでも、いいよと思われた方・・・・お付き合い、よろしくお願い致します。

狐草紙異聞ー別項ー宵待夜想(中)


あの時に見た、色鮮やかな色彩そのままに現れた存在に。
ひどく戸惑っているあたしが、なんだかおかしかった。

確かに。
確かに、あの時は素見に紛れてしまった存在を残念だと思ったけども。
どうして?
何で、あの子がここにいるんだろう?

でも、あたしはそれ以上に憤りも、不満もいっぱい、いっぱいあった。

特に、この。

誰にぶつけていいのかも解らない憤りがあたしの中にふつふつと沸きだして、止まりそうにもなかった。

――どうして、おじじと姐さんは何も言ってくれなかったんだろう?

「おじじ?姐さん?何なの?この子、誰か、誰かっ」
「おやめ、女郎花」
「だって姐さん!おかしいよ、何なのこの子?姐さんも知ってる子なの?!」

刹那、桂尾姐さんが困った様に綺麗な顔を歪めたのを見た気がした。

・・・・・だけどあたしは、それを見なかった事にした。

「いや、この童っこは知らないよ。あたしは、先刻おじじを出迎えた時にわかったんだよ」
「何が」
「椿が死んだこと、だよ。それに、その童っこが関ってることも」

姐さんがかつん、と煙草盆の灰受け皿に煙管を打ちつける音にやたらと腹が立った。

「だから、どうして、」
「おじじが遣(よこ)した八咫烏(やたがらす)の文には、椿の消息がわかったって書いてあったから。だけど、ね。
長い付き合いだ。おじじの顔を見て、察するぐらいはできるさ」

あたしには、そんなことできない。
当たり前なんだけど、今はそれがひどく悔しい。

「それに、会わせたい奴がいるって書いてあれば、な」

姐さんが慣れた手つきで刻み煙草を手に取り、丸めて煙管に詰める仕草ですら嫌気が差す。

そういう自分が、更に嫌になる。

「それに。あたしがさっき『死んだそうだ』ってカマかけたら、嫌だね。否定、しなかったね、おじじ」

おじじが、眼を細めた。

「お前は賢しい娘じゃったな」

なにそれ、おじじ。あたしだけ蚊帳の外じゃない。
そうなんだ、誰も否定しないんだね。

・・・・・誰か、一人くらいは違うって言ってよ。

ふぅぅぅ、と深く息を吐き出すと。
それまで黙ってあたし達の会話を聞いていたあの子が唐突に喋り出す。

「いや、そうじゃない。正確に言うと、あるべき姿に戻っただけだ。あいつは最初からこの里に存在していなかったから」
「おじじ?この童っこは何言ってんだい?」
「美鶴や、まだ早い」
「俺は回りくどいのが嫌いだ」

あぁ、相変わらず、だね。
 
・・・・・・・なんで?
あたし、今なんて思った?

「見つけることができないと思っていた」
「どういうことだい?童っこ」
「美鶴。生憎俺は、童っこって言う名じゃない」

「ありがたいね、御教示頂いて」姐さんが、ふんと鼻で哂う。

ミツル、みつる、美鶴?
 
「あいつがこの里から来たことが解らなければ、」
あれ、どうして、だろう。
 
あたし、あの子の諱(いみな)知ってる。

にぃやぁぁぁぁぁ、と猫の鳴き声が頭の中に響く。

なんで?
 
『だって、一度出逢ってるじゃない?』

にぃやぁぁぁぁ、にぃやぁぁぁぁ、

「お前は現世で生まれて、現世で死んだ」
 
美鶴が白い猫が、あたしを見る。

白い猫?どうして、ここに猫がいるの?
誰も、この猫に気づかないの?
 
「何言って、るの?誰のこと?」
「やっと、見つけた」

ウツシヨデシンダ?
 
あたし、生きてるよ?

「嘘だっ、そんなの嘘!あたしはちゃんと、ここにいたもん!姉さんも、兄さんもちゃんと、」

嘘だ、この子、嘘つきだ。
うそつき、うそつき、うそつき、うそつきなんて、大嫌い。

(痛い。痛い、なぁ。だって、急がないと、)

    『何で、急いでいるの?』

「これ女郎花、そんなに突っかかるもんでもなかろう?」

(雨が、降り出しちゃう。ようやく、雨が止んで。夏椿が、ね)

「だってっ」

『そう。ようやく夏椿の花が、咲いたのね?』
 
(すまない。俺がもう少し、早ければ)

・・・・・・・・・・誰?

姐さんが、また一口、煙管を喫みだした。
普段は煙管の紫煙なんて気にもならないのに。

「あんまり、おかしな事を言うんもんじゃないよ。あたしは椿と女郎花。それにあと、沙羅がこの里に来た日をよぉく覚えてるんだよ?」
   
(変えられる、運命もあったはずだ)
 
姐さんの、吐き出す紫煙がゆうら、ゆうらと纏わり付いて気持ち悪い。
 
(黄泉津比良坂《よもつひらさか》で白蔵主が待っているから)
  
「桂尾や。椿と女郎花がこの里に来た時2人一緒だった、と?」

『汚れちゃうよ、せっかく綺麗な着物着てる、のにって伝えたかった?』

「あぁ、見世のおやじが面倒見ろってあたしに、2人を付けたんだよ。あとから沙羅っていうおのこも連れて来たけど」

(お前をちゃんと常世に送って行ってくれるから、安心していい)

『いいのに。ひとり、でいいのに、ねぇ?』

(うん。でも、夏椿を見せてあげたかったの。美鶴の着物が朱色だから、きっと似合う)
 
『うん、きっとね』

そっか、そうだよ、白い猫はあたしだったん、だね。

はたり、はたり、はたり。
 
風が、強い。
 
そうだね。
あたしは、本当はこんなヒトの姿じゃぁなかった、ね。

次に憶いだすのは、漆黒の冥い冥い黄泉路。
 
はたり、はたり、はたり。
 
風、が強くて、とても哀しく響くから誰かが哭いているのかと思った。
 
この黄泉路は、淋しくて淋しくて。
ひとり、で歩いていると自分の影に惹きこまれてしまう。
 
そう言えば、いつもあたしひとりきりだったな。
気が付いたらひとりでいきて、ひとりで死んじゃったのかぁ。
きょうだい、っていいものかな。
ともだち、ってどういうものなんだろう。

あたし、何にも持ってなかった。
名前、も何も。
 
―――――本当にそれで、いいの?
 
 
黄泉路の、崖下には黄泉の淵が広がっている。
 
この黄泉の淵には、黄泉津比良坂(よもつひらさか)を往く者の過去、現在、未来、そうして。
 
――――異世界が、流れている。
 
全く、違うあたしの可能性。
 
神様はいつだって理不尽だ。
変えられる運命もあったはずだ、って美鶴は言った。
 
でも、神様は変えてくれなかった。
それじゃぁ、あたしが、今。
 
変えられるものなら、変えてみてもいいじゃ、ない。
 
確かなものなんて何もなかった、でもすぐ側にある可能性を、信じてみたかった。
神様なんかよりも、近くにある可能性をあたしは選んだ。

そうして、あたしは、黄泉の淵に飛び込んだんだ、ったね。

「女郎花?どうした?どこか、」
「ううん、姐さん。違うの。あたし、そうなの。憶いだしたの。還らなきゃ」
「女郎花?どこへ行くってんだい」
 
あたしの往くべき、場所だよ姐さん。
 
そう、だったねぇ。
あたし女郎花じゃ、ないんだよ姐さん。
椿、でもないけど。

――――名前なんて、あたし持ってなかったもの。
 
でも、せっかく里のみんながあたし達に付けてくれた名前だもんね。
 
これぐらいは貰っちゃってもいいよ、ねぇ?

でも、神様は許してくれるんだろうか?
きっと、あたしはしてはいけない事をしている。

「あーぁ。椿は美鶴のとこに戻ってたんだね?」
「あぁ。ここに、在る。お前のタマシイの半分、だよ」
 
ゆらり、ゆらりと揺れる青い御魂の焔。
 
宵闇に燈される行灯や提灯の揺れる灯りを見ると、落ち着かなかった。
何かを待っている、でもあたしはその何か、が恐くて。
 
「怒ってないの?」
「放っておくこともできた。路筋を違えた魂は、いずれ時が来れば消滅するだけだから。けど、お前は」
 
あ、あたしの好きな瞬間だ。
 
「現世でこの俺が送ったんだ。最期まで、付き合わないとな」
 
美鶴が、にぃぃい、と笑う。

「おじじ、あたしが解るように説明してくれないかい?」
 
桂尾姐さんが、苛々と煙管を喫みだす。
今度はひとり、蚊帳の外に出された姐さんがふて腐れた顔をしている。

ごめんね、姐さん。
 
「この中津国(なかつくに)と向かい合わせに現世が存在しておる」
「あぁ、誰もが知ってるよ。そんな事ぐらい」
「現世と中津国の先に。死者の御魂が往く常世がある。なぁに、椿と女郎花はすこぅし、この里に寄り道しただけの話じゃ」
 
「ほぉ白蔵主、何が『すこぅし』だ。お前が気をつけていれば、こんなことにはならなかっただろうよ」

「違うよ、美鶴。あたしが、勝手にこの世界に来ちゃったから」

もしかしたら、おじじはわざとあたしが、飛び込むのを止めなかったのかも、ね?
 
「ちょっと、待ってくれ。こいつは、確かにいたんだ。椿と女郎花はあたしと笑って、怒って毎日がそんな感じで、」
 
「椿も、女郎花も。もちろんちゃんといるのじゃよ、桂尾」
 
「姐さん、ごめんね。騙して、嘘ついて、ごめんなさい。全部、あたしの嘘なの。まやかしなんだよ」
 
「何言ってんだい、」
 
「あたしここではね。好きな姿になれるんだ。だってタマシイだけの存在なんだもん。姐さんが今、見ている椿と女郎花はあたしが自分のタマシイで創った存在なんだ。あたしは、椿であり女郎花なんだよ」
 
「ひとりで、ふたり?そんなことあるか!椿と女郎花じゃぁ、全然姿も、声も違ったんだ、」
 
がっつん、と姐さんが叩きつた煙管があたしのところに転がってくる。

長い、長い朱色の花魁煙管。
本当に、姐さんが煙管を喫む姿が、好きだったんだよ。
 
「ううん、姐さん。ここにいる、女郎花も椿もあたしなんだよ」
「でも。でも、時間が合わないじゃないか、あんたと過ごしたこの何年間はどう説明するんだよ?」
 
あたしは姐さんに駆け寄ると細い、細い肩に顔を埋めた。

あぁ、やっぱり姐さんはとても、いい匂いがするよね。
 
あたしに向ける姐さんの優しさが、嘘でもいいの。
幻だっていいんだ。

だって、ここにいるあたしはニセモノのでしかないんだもの。
 
でも、今は。
姐さんはニセモノのあたしを、必要としてくれてるんだよね?
ありがとう、姐さん。
 
「夢だよ、姐さん。椿と、女郎花はあたしじゃぁないよ。夢から醒めれば姐さんの側に」
 
―――あたしじゃ、ないけども。ホンモノの椿と女郎花が。
 
     「ちゃぁんと、いるよ」

これは、全部夢なのだから。胡蝶が、見る夢。
 
ことり、と姐さんの身体の重みがあたしに掛かる。
あたしは、タマシイだけの存在だから。
でも、よかった。
まやかしがばれた時に、仮初の真実がニセモノに変わってしまうから。
 
美鶴やおじじが来ても、まだ少しは身体を保っていられるのか。
じゃなきゃ、姐さんの頭にたんこぶ作っちゃうもん。

ああ、でも。
 
お客さんの前では、おしとやかにしなきゃだめだよって、言いそびれちゃったな。
 着物の襟元を直して、煙管をそっと煙草盆の煙管擱(お)きにひっかける。
 
   姐さん、また。どこかで逢えるといいなぁ。
 
 
「往こうかぁ、美鶴、おじじって、ごめんなさい、ええと」
「よいよい、おじじのままで」
「ありがと」
 
おじじは、ほっほといつの間に持ち出したのかお猪口にお酒を手酌で遣り始めた。

「ほぉら、女郎花。ここに酒があるでの。折角じゃ、ひとさし舞ってくれんかの?」
「白蔵主、いい加減にしろ」
「まだ、夜は明けておらんからのぉ、そうじゃな、胡蝶がいい」

おじじは、何を言ってるんだろう?
ニセモノのあたしに、舞える訳ないじゃない。

露骨に眉を顰めた後、諦めたように美鶴が、ふぅぅぅぅと長いため息を吐いた。

ぱちり、と指を鳴らす。

ふ、と周りを見渡せば一瞬で見えていた景色が変わってた。

さわさわと、風が渡っていく。
辺り一面に、咲いた小さな黄色い蕾をつけた花たち。

あれ?里じゃないや、ここ。
どこ、なんだろう?

そろりそろりと黄色い花たちが咲き始める。
あぁ、宵に咲くこの花は、たしか待宵草だったっけ?

月が大きくて、まぁるい。

なんだろう、わくわくしてる。あたし、うさぎじゃないんだけども。
舞って、みようか。
ニセモノだから、胡蝶なんてわかんないけど、いいや。

だって、眼を閉じればあの花街「花舞い里」の喧騒が今も耳に。
三味線を掻き鳴らす、芸者さんたち。

艶やかな綾錦に彩られた、綺麗で哀しい胡蝶たちが、翅を閃かす。

そんななかで、ひと際綺麗な胡蝶はもちろん、桂尾姐さんだよ。

桂尾姐さんが舞う。
ねぇ、もちろんあたし、も一緒に舞うんだよ。
たとえ夢でしかなくてもあたし、とても嬉しいんだよ。

そうして、唄の最後がのびやかに詠われる。

―胡蝶も歌舞の菩薩の舞の、姿を残すや春の夜の、霞に紛れて失せにけり
 
「いい夢が、見れそうじゃな」
 
ほっほと、笑うおじじの声が遠のいた事に気づくとあたしはいつの間にか。
 
黄泉津比良坂に。
あの黄泉の淵に飛び込んだ場所に立っていた。
 
 
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