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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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とりあえず、ささっとあげてみました(すでに、過去日記12/17でございます)
続きの段は後ほど、また。

・・・・・・全力で書き直したら、何故かおかしな方向に・・・・・・!
どろんどろんに、くっらーい話から全力で立て直したら何故か、何故か・・・・!

・・・・・美鶴殿が、ヘタレ(と言うよりも、今回出番なし、オマケに肝心なとこで滑る)です。
そうして、美鶴殿が滑った代打、ダークホース、真打で亘さぁぁぁん大好き?なカレが。

・・・・・・・頑張ってくれました。しかしながら、方向性が微妙にずれた模様。
なぁんて、どーんとこーい!

・・・・・な心優しいお方様。お付き合いくださいますか???

また、後ほど、お節介な文中補足はあげにきますので・・・・

く、クレーム・・・・・どーんと、こーい!!(かも・・・・)

  
草紙異聞ー桂男の項ー(中)亘の段



ぬばたまの その夜の月夜 今日までに 吾は忘れず 間なくし思へば
(ぬばたまの そのよのつくよ きょうまでに われはわすれじ まなくしおもえば)


   万葉集第4巻 河内百枝娘子(かわちのももえのをとめ)



べちり、べちり。
(しゅんしゅん、しゅん、)

うるさいなぁ。なんだろ、ほっぺたを誰かが叩いてるけど。眠いんだ、寝かせて。

べちり、べちり、べちん。
(しゅんしゅん、しゅん、)
・・・・・・って、なんかさっきよりも、強くなってる?でも、いいや。

いや、痛い。じんじんと、痛いって・・・・・・そろそろやめてくれないかなぁ、なんて。

べちべちべち、べっち、ばちっん、ば、
(しゅんしゅん、しゅんしゅん、)

「わぁぁぁ!ちょっと!!起こすのにも加減ってもんがあるんだってば!!」
「だって、アナタなかなか起きないんですもん」
「へ?」
 
    「お茶、せっかく出来たのに」


僕は、唐突に目が覚めた。
女の子の声?何で?
がばり、と起き上がるとすぐ側に小さな女の子。
 
赤い絨毯。
見上げると赤い、和紙の大きな傘。
しゅんしゅんと音をたてるお茶釜。
・・・・・ここ。そ、となのに。何で?
どこかで嗅いだお抹茶の匂い。
 
ほの薄く光る実をつけた、大きな大きな、木。
 
とりあえず、自分の状況をまず思い出してみよう、うん。
確かルゥ伯父さんと晩御飯に行こうして、行けなくて。
僕、そうだ。
 
そうだ、アヤカシに攫われたんだった。
でも、どうして僕はこの子に起こされなきゃいけないんだ?
まだ少しだけ頭の芯の奥深いとこがぼんやりする。

「あたしは、五花。アナタは三谷亘でしょう?」
「い、イツカちゃん?うん、まぁそうなんだけど」

赤い絨毯にぺたりと座って僕を見る、大きな黒目がちのぱっちりとした瞳。
流れるような黒くて長い髪の毛。
いくつもの着物を重ねた姿は、昔のお姫様みたいだ。

ほんの少しだけ。似ている、と言う訳でもないけど誰かさんの面影を見た気がした。

「あたしのこと、イツカでいいよ。ほら、亘。お茶。早く飲みなよ」
「あ、うん。じゃぁ、いただきます」

なんか僕、同じ様なことしなかった?
いつ?どこで?
あと少しで、ナニカが繋がるのにそのナニカが曖昧過ぎてでてこない。
 
「どぉぞ。あ、亘。『オテマエチョウダイイタシマス』って言わなきゃ駄目だよ」
「そうなんだ、ごめん」
 
もう、なんで僕の名前知ってるの、とは聞かない。
だって、アヤカシの誰も彼もが僕の名前を当然のように知っているから。
 
「うん、これやっぱり駄目だ僕」
 
やっぱり?

くくくっ、と悪戯を企む時のような、笑い声を漏らす。
なんか、別にいいんだけどちょっと、むっとする。

「あ、ごめん、ごめん。にっがいよね、それ。でも亘、お茶飲んだらね、『ケッコウナオテマエデシタ』って言うんだよ。ウワサの君は思った以上に素直ね」
「はぁ、以後キヲツケマス。噂って、多分。いい、噂じゃないと思うんだけど」
「そんな事ないよ。亘は三橋の狐のお気に入りだとか、さ」

くるりくるり、と柄杓を回してびしり、と僕の目の前に突き出す。
 
「三橋?」
「うん、そう。あの目つきの悪いキツネ」
「あ、美鶴の事か・・・・ってお気に入りって違うと思うけど」

なんでそこでわかるかなぁ、アナタ結構失礼ねと言いながらきゃははっと高い声を上げながら笑い転げる。

僕からしたら、キミも相当だとは思うんだけど。
僕の後半のセリフ聞いてたんだろうか。

「ふぅん、亘はあいつの真名、知ってるんだ?」
「まな?」

「おや、私が席を外した間に。随分と仲良くなったみたいですね」

ふふっ。
 ・・・・・なんか、変なの。このヒトこんな風に笑えるんだ。
僕を攫った張本人が、お茶菓子を持ってやって来た。

「亘殿、ご気分はどうです?すぐれませんか?」
「いぇ、特には。って僕、別に仲良くなってないと思うし。あの、今更だとは思うんですが。え、と貴方はか、つ?」
 
イツカがひどーい、とぶすくれた。
だって、本当のことだし。
 
「『桂男』、ですよ。まぁ真名は違うんですがね」
「かつらお、さん」                     
「えぇ」

にこり、と笑ったこのヒトは悪いアヤカシなんかには見えない・・・・んだけどな。
 そう、なにかおかしな感じだ。
ここに来る前と、雰囲気が随分違うから戸惑ってしまう。

「えぇっと、僕あの。帰らせては貰えない、ですよね。やっぱり」
 
ルゥ伯父さん待たせてるんだけどな、とか。
あんまりに遅いから迎えに来て僕がいなかったら騒いじゃうじゃないか、とか考え出すときりがない。
帰ったら、カミナリか大雨注意報だよね、やっぱり。
 
「だーいじょうぶだよ、亘。ここは時間がでたらめに歪んでるもん」
「はぁ。お気遣いありがとうって言うか、ここはどこ?」
 
あのススキの原に似ているけども、違う。
大きな青白い月は、同じだけども。
 
うん、思いだした。
 
屋敷の住人たちのおしゃべり。
赤い眼の綺麗なススキのヒトの含み笑い。
さっきのお姉さんから漂う花の匂い。
 
全部、忘れてなんかいない。思い出せなかっただけで。
 
「亘殿のセカイからそんなに遠くはないですよ」

答えになってないじゃないか、とボヤキたくなる。
駄目だ、言っても仕方ない。それに、聞きたい事はまだある。
 
「お茶を一緒に飲む為に呼ばれたんじゃないよね、やっぱり」
「はい、もちろん」
「ふぅん、意外に冷静なんだね。ツマンナイの」
「そうでもないよ」
 
無理矢理慣れさせられた、と言うか。うん、慣れたからだな。やっぱり。
 
「あ!でもさ。亘あたしのお茶飲んだよね?もしかしたら、なぁーにか入ってたらどうする?」
「それは、ないよ」
「なんで?」
「わざわざ、僕を起こしてまで飲ませたお茶だもん。僕に何かするんだったら、起こさない方が都合がいいし」
「飲ませなきゃいけないモノだったら?」
 「あ、その可能性はあるねぇ。でも僕なら思いついた様にそんなこと、言わないけど?」
 
む、とイツカが黙り込む。
次はイヤな奴って言われちゃうかな、やっぱり。

くすり、と微笑った後に、桂男さんはじっと僕を見つめて眼を細めた。
 
「アナタはやはり、賢い御子です。亘殿は、我々アヤカシをどう思われますか?」
「はぁ。いきなり、言われても。うぅんと。あ、怖いのは嫌です。でも、多分。嫌いじゃ、ないですけど。」
 
どうしてかな。今、まさに迷惑ですとは言えなかった。
なんで「迷惑」って言葉が浮かんだ後、ちくりとしたんだろう?
少し、悲しいと思うのは気のせいなのかな。
 
「我々が恐ろしいですか?アナタ達ニンゲンの方がずっと強いのに」
「こわい?」
 
にこり、と笑った顔にやっぱり悲しくなったのは気のせいじゃないと思う。
 
「亘。あたしね、このセカイでは邪魔者だった。亘のこと知ってからずーっと亘に会いたいなぁって思ってた」
 
ぼつり、と零される言葉はほとんど聞こえないぐらいに小さく呟かれていて。

「だから亘たち、ニンゲンのセカイをね。ずぅーっと、見てたの。行ってみたいなぁって。そうしたらね、偶然アナタを見ちゃってね」
 
「別に。普通だよ、僕」
「だって亘は、あたしたちを受け入れてくれるもん。他のニンゲンはあたしたちを邪魔者扱いするもん」

やっぱり悲しくなった。
 
「来たいなら、こっちに来ればいいのに」
「行っても、つまんないもん」
「どうして?」
「カラダ、ないから。ほら、あたし亘に触れない」
 
すっ、と僕の手を取ろうとしたイツカが伸ばした指先が僕の手を突き抜けていて、不思議な感じがした。
 
僕の手からイツカの手が、ハエテル。
 
「でも、このお茶碗とかは持ってたよ」
「だって、このセカイのモノだもん、それ。当たり前だよ」
 
・・・・・・そんなこと、知らないし。
 
でも、なんでだろう?
この子もそうだけど。アヤカシってのはなんで、ニンゲンのセカイに来たがるんだろう?
 
「ねぇ、なんでさ。そんなにニンゲンのセカイに行きたいの?あんまり、いいとこでもないと、思う」
 
少なくとも、今の僕にとってはだけど。
 
「このアヤカシのセカイを創った御方はね、亘殿。もとは、アナタがたニンゲンから産まれたのですよ」
「ふへっ、」
 
思わず、変な声がでた。予想外だ。
 
「あたしたちはね、亘。あんたたちが『いない』と言ってしまえば存在しないのよ、笑っちゃうよね」
「我々は、アナタがたの想像から産まれたモノですから」
「でも。いくら、『創られた』存在でも。いくら、あたしはあの女からイラナイ、と捨てられても。あたしはちゃんとここにいるもの」
 
ずっと、考えていた事がある。
どうして、僕に視えるアヤカシが他の人には視えないんだろう、って。
僕は、美鶴と出逢って偶然キッカケを貰ったのに過ぎないのかもしれない。

でも、そっか。
いつかきっと僕のセカイも「世界」として廻り始める。
いつまでも、コドモではいられないから。
嫌でも、身体と心はだんだんとオトナになっていく。
 
そうして、僕も視えていたセカイをいつか。
いつの間にか、見なくなっていってしまうんだろうか。
お父さんの様に。周りのオトナたちの様に。
 
キミたちを。うぅん、美鶴さえも。
僕はいらないモノとして置いて行ってしまうんだろうか。
 
「どぉして?」
「なに?」
「なんで、亘が泣くの?」
「わかんない」

そんなオトナになんか、なりたくないのに。
 
「我々に同情しているのですか?」
「わかりません。でも、そんなに難しいキモチではないと思います」

同情、って便利な言葉だけど。
だけど、感情って難しいんだ。簡単にヒトの気持ちなんか解る訳ないじゃないか。
 
「同情、がどんな気持ちか解らないけど。あの、僕にして欲しい事があるから呼んだんですよね?じゃぁ。うまく、出来るか解らないけど。僕で、よければ」
 
桂男さんが、ぱちくりと眼を見開いていてなんだか可笑しかった。
 
「アナタは、変わってますよ」
短い溜め息をひとつ零した。
 
「よかった、亘はあたしがイヤじゃないのね?」
「なんで?うん、イヤじゃないよ」
「じゃぁ。あたしが亘たちのセカイに行きたいって言ったら協力してくれる?」
「うん、いいよ」
「ほんとね?イツカの事キライにならない?」
「うん」
 
にこぉ、と笑った顔があぁやっぱり誰かさんに似てるなと思ったその時に。
 
ずぶり。
 
「ごめんね、亘。お茶、飲んだでしょう?あれね、返魂樹の葉が混ぜてあったんだぁ」
 
ずるり、ずるり、ずるり。
 
「返魂樹の皮はね。お香にすると、死者の魂を呼び戻してくれるんだけど、」
 
ずるん。
 
「葉っぱはね。魂をさ。引き出す事に使えちゃったりするんだよね」
 
(え、っと。じゃぁこれも、僕なんだ?)
 
なに、これ?
僕が、僕を見ている。僕はイツカに僕の一部?を掴まれたまま、ゆらゆらと風船みたいに揺れていた。
 
「うん、亘だよ。亘の本体、って言えば解る?ウツワはこれ」
 
もう一人の僕はイツカの足元でぐたんとしていた。
不思議な光景だと、思った。
 
「初めてね。亘を見た時から決めてたんだ。あたし、亘が欲しいなぁって」
 
くすくすくす。
嬉しそうにイツカは僕を見上げて笑う。
 
えっと、これって普通に言えば、まずい状況じゃないか?
 
「亘はさ、イツカの事イヤじゃないよね?キライじゃないよね?じゃさ。あたしに亘のカラダちょうだい」
 
(えーっと、それとこれは違うんじゃ、ってわぁぁぁぁ!)
 
「桂男、ちゃんと亘、捕まえといてね?」
「はいはい。仰せのままに。困ったお姫様」
 
じたばた、とタマシイになって藻掻いてみてもなんだか無理っぽい。
タマシイの僕はあっさり、桂男さんに手渡された。
 
「アナタはお人好しだ」
 
さっきついたばかりの溜め息をもう一度、吐き出された。
 
放って置いて下さい、なんてのんきに思ってる場合じゃないのに。
も、もっと焦らなきゃいけないのに。
 
(あの、さ。僕ってどうなるの?)
 
なんて、僕でも解りきったセリフに自分でげんなりする。
あ、もうだめだ。
本当にゼッタイゼツメイってやつだ、これ。
 
僕のカラダに手を掛けていたイツカが振り向いて、綺麗に微笑んだ。
 
「大丈夫。亘はあたしがちゃんと淋しくないように」
 
重なるカラダ。
繋がるタマシイ。
震えるヒトミ。
零れるタメイキ。
 
     
     「あたしが、ちゃんと喰べてあげるね」
 
もう一人の僕。
かつて、僕だったカラダ。
僕じゃない、僕。
 
僕が僕に食べられるってどんな気分なんだろう?
ぼんやりと、そんなことを考えながらどこか誰かさんの声を期待していた僕は、だから。

だから、イツカな僕の足元の影からもうヒトリのボクを見つけた時。
もうヒトリのボクの声に、僕らはびっくりしたんだ。
 
 
      「ちょっと、僕。喰べられていいわけ?」
 
 
これってさ、きっと。
 
・・・・・・・・・セーテンノヘキレキってやつだ、絶対。
 
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