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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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微妙に、奇妙に季節がずれ始めましたが・・・・!
ごごご、ごめんなさい、多分残暑が終わる頃には完結しようとしたんですがね!

必殺、予定は未定・・・・・!

いや、始めたの遅かったし・・・ごにょごにょ・・・・

番外書いてる場合じゃない、んだよなぁ・・・・とか。でも、番外だけど、
微妙に番外ではなくなってしまったとですよ!あっれぇー!
ここで、わっかり難い言葉なんぞを。
うううう。毎回、毎回ごめんなさいぃぃぃ!補足や追記がなきゃわかんないSSって!!

・・・・・どうよ・・・・・へこんでみる。

置いといて。

ー文中補足ー

蛍、火垂る、星垂る(ほたる)・・・・ほたるは夏の季語。ですが、秋らしい言葉を添えることによって、秋の季語にもなります。火垂る、という字をあてるのは、お尻から火が垂れている様に見えるからだそうです。 
星垂るも、同様に。星が垂れている様に見えるからだそうです、よ。 

翠簾野(みすの)・・・・「緑」が入った滅多にお目にかかれませんが、人の苗字です。

緑柱石(りょくちゅうせき)・・・・ベリルとも。鉱物名と宝石名は違うものなんですが、緑柱石に関しては同一に用いられているみたいです。色としては、淡緑~青の間といったところでしょうか。

              


狐草紙異聞ー別項ー星垂る幻想



ここは、どこだろう?
僕は、いまどこに向かって歩いているんだろう?
身体に、ねっとりと纏わりつく空気の重さが。
鬱陶しいはずなのに。
 
ここはこんなに真っ暗闇なのに。
なのに。
 
どうして今僕は、この真っ暗闇にひどく安心しているんだろう?
 
 「お父さんは、お母さんと僕を捨てていくの?」
 
    イヤダ、オモイダシタクナイ
 
      「捨てていくんだよね?」
 
     チガウ、アレハユメナンダ
     ボクハ、ワルイユメヲミタンダ
 
 
「お前、なにしてんだ?」
「み、」
 
突然、思ってもみなかった声が聞こえて僕はびっくりする。
 
闇、が。
 
真っ暗だった闇が、はっきりとした輪郭で僕の意識をカタチづくる。
ぐいっ、と手を引かれる。
 
眼に飛び込んできたのは、朱の着物。
着物地に浮ぶ艶やかな白牡丹。
その白牡丹に負けないぐらい、綺麗な少年。
 
「お前、な」
「え?」
「いや、なんでもない」
 
浅く、息を吐き出すと美鶴は僕の背後に声を掛けた。
 
「すまない、翠簾野。こいつは俺の知り合いだ。お前達が渡るのを邪魔したりはしない」
「みす、の?」
 
すいっ、とナニカが静か動く気配がした。
「いえいえ、美鶴殿。私どもこそ、ご無理を言っているのです。少し、吃驚しましたが」
 
振り返ると、そこにやんわりと微笑んだ女の人がしゃん、と佇んでいた。
 
美鶴より、短い袖の黒の着物地に浮ぶ白い睡蓮。
金糸と銀糸で織り成された綾錦の帯。
高位置にひとつに結った髪がさらさらと風になびく。
 
  物凄く、綺麗な女の人だ。
 
「久しぶりに、私が視える人の子を見ました」
 
ふふふっ、と口元を着物の袖で隠して笑う。
 
ふわり、ふわり。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、次々と。
 
女の人の傍から浮かび上がる、薄くほのかに明滅する緑柱石色のひかりたち。
ひかりたちが、あちこちに散っていく。
 
「わ・・・ぁ、これ」
「随分、驚いているようですよ?美鶴殿」
「初めて見るのであれば、驚くだろうな。だが、何度見ても綺麗なものだな」
 
蛍、たちだった。
蛍たちが、あちらこちらに飛び交っていく。
まるで、星のように輝く。
 
それは、本当に綺麗なひかりたちだった。
ひとつが、明滅すると追いかけるように。
別のひかりが、
まるで応えるように瞬く。
 
「美鶴殿に逢うのも、随分と久しぶりですね」
「ああ」
「本当に感謝しています。やっとこのもの達も子を成すことができます」
「俺はお前達を渡す、ことしかできない」
「いいえ、私では、このもの達を他の地に渡すことはできなかったでしょう。私達が生きるにはこの地も、難しくなってきたところだったのです。」
 
淋しい、笑い方だった。
儚い、微笑みだった。
 
「あ、あの。僕、み、たに、亘って、言い、ます」
「はい。存じておりますよ」
「え?」
「この町の人間はね。私達にはとても優しいのですよ。私達にとって住み良いように頑張ってくれている」
 「あ、」

僕は思い当たる。そう、なのだ。
少し前からだけど。
僕の小学校では、「環境保護運動」と称して月に一度町のごみ拾い活動がある。
 僕の住んでいる番地は、この町を流れる川の周りの担当だ。

川の周りには、たくさんのごみが捨てられている。
拾っても、拾っても。
きりが、ないぐらいに。

だけど、僕はそれを見るのがなんだか悲しくて。
ごみを、拾う。
少しでも、悲しい風景を変えたくて。

たし、か。
そう、確か6年生が緑地公園のため池を蛍の繁殖用の池にして、蛍の幼虫を育てていた、はずなんだけど。
 
「私達はね、探さなくていけないの。夏の宵は短いものだから。生涯の伴侶を。たった、ひとりを。私達の一生をかけて添い遂げる、相手と出逢わなくては、子を成せない」
「この町では、だめ、なんですか?」
「私達が子を育てるのに、少しだけこの地は不便なんですよ」


蛍が子を産むのに必要なのは、安心して身を置ける豊かな緑。
蛍が育つのに、必要なのは清浄な水と土地。

きっと。
それらが、まだこの町では少し不充分なのだ。

「私達の生命、はとても短いものです。だからこそ、美鶴殿にお頼みしたのです」
「気にするな。それも、仕事だから。ここ、を渡って行けば早く望んだ地に着くしな」

「ご、めんなさい」
僕は、居た堪れなくなって、ぺこんと頭を下げる。
蛍の、一生はとても短いものだと図鑑で知っていた。
僕が謝っても、僕達人間が盗ってしまった居場所は戻らない、のだけど。

「あら、顔を上げてくださいな。私どもはこの町の人間が好きなのですよ?だから、もう少し。もう少し、したらね」

    
             皆で戻ってくる、つもりなんですよ


人間なんかより、ずっと、ずっと。
このアヤカシ、は優しい。
「あなた達が戻ってくるの、とても楽しみに待ってますから!」
「ありがとう」

「翠簾野、道筋は長くはもたない」
「すみません、ついつい嬉しくて。それでは美鶴殿」

御礼申し上げます、と。とても優雅に一礼した刹那に。

ひと際強く輝く、星が。
ひかり、が僕の手の中に一時落ちて瞬いた。

   一生懸命、川を綺麗にしようとしてくれて、ありがとう、

そう囁かれた。
くすぐったくて、嬉しくなる。

そうして、蛍たちの、渡りが始まった。
やわらかに輝く星たちが、ゆっくりと流れていく。


             夏の宵は早く明けてしまうから。
             早く、早く、恋をしなくては。
             それぞれの、たったひとり、と。


「わ、ぁぁあ。僕、初めて見るよ。こんなの、こんなの夢みたい!」
「そうだな、お前次第だ」
「なぁに?」
「お前が夢と思えば夢だし、現と思えば現になる」
「うつつ、」

そっと。
美鶴が僕の手を取って歩き出す。
「お前も、戻らなければ。送ってやる」

その手があんまりにも、あったかくてびっくりする。
相変わらず、綺麗な横顔。

「なぁ。俺は宮にいるから。もし、お前がどうしようもなくなったら。まず、来い」

僕、何にも言ってないのにね。
僕を、見つけてくれて、ありがとう。
僕の、手を引いてくれてありがとう。
僕は、ぎゅっと美鶴の手を握り返す。

「うん」
「まったく、ふらふら夢なんぞ渡ってくるな」
「うん」
「もし、俺が気がつかなければお前。身体に戻れなかったぞ」
「うん」

眼を覚ませば、現実が待ってる。
でも。
不思議だね、君といるとひどく心が落ち着いて、静かになる自分が、いる。

       ちゃんと、美鶴に伝わるか、なぁ?

ここに来るまで、怖くて、怖くて、闇に。
ナニカに押しつぶされそうで。
怖かった、んだ。

「ほら、じきに朝がくる。お前も、目覚める」

これは、綺麗な幻。優しい夢。

美鶴が笑って、またなと言ったのを眼の端に移したまま。
僕はうつつ、に戻る。
逃げても、逃げても、必ず捕まる現実。

だけど。

星垂る、のひかりじゃぁないけど。
優しい、ぬくもり達が僕のこの手にあるうちは。

きっと、まだ、大丈夫。

       僕は、ゆっくりと眼を覚ました。







    



 
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