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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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鬼やらいの時季です。
 
節分は立春の前日。春が少しずつ、近くなってきました。
 
まぁ、お目汚し程度、さらりと短いですが宜しければどうぞ。

調子のいい拍手に合わせて、唄われる囃し歌。
思い出せそうで、思い出せないのがなんとなく気持ち悪い。
そもそも僕はこの歌聞いたことあったっけ?

鬼さんこちら、手の鳴る方へ
鬼さんこちら、手の鳴る方へ

それにこれ、なんの遊びだったっけと考える僕の鼻の頭にひやり、とした感触。
あ、雪。と、思ってぴたりと足を止める。
そうして僕ははて、と首を捻る。

晴れているのに雪が降るなんて。
でも、これは降るって感じじゃないんだよなぁ。晴れているのに雨が降るのは狐の嫁入り。
じゃぁこれは、狐の婿取りとかなんとかなのかしらん。なんてね。

「なんでも狐をつければよかろうもんじゃなかろ?」

とん、と僕の眼の前に降ってきたザ・チャイナな男の子、でいいんだろうか。
人が降って来る訳もないので多分、人ではないと思うけど。

「おくれ、おくれ。豆おくれ。ヒトの仔、豆おくれ」

糸のような眼がさらに細まって、言い方は悪いけどあまり性格が良くなさそうに見える、ような笑い声をあげながらずずいっ、と掌を差し出す。

「黒はだめじゃ。白いの。白いのがいい。追うてやったじゃろ?じゃから白がいい」

「豆?なんでキミ達っていつも唐突なの。ないよ、そんなん」

言い方がきついかなとちょっと思った瞬間、コンマ前の僕に安心して、そんな気遣いいらないからと言いたい。

「ないないない。福はうち。鬼はそと。福はうち。鬼はそと、そとにいるのはナニ?」

いやだね、うん、いやな空気ですよ。ずもももも、なーんて擬音語がついちゃうぐらいなんか、チャイナから出てきてる(ような気がする)し!
しかもナニってアンタ、答え言ってるじゃんと突っ込むその前に。

「恩着せがましいのもいい加減にしろ馬鹿め」

鶴の一声、ならず美鶴の一声。

ばらばらばらばららら、とチャイナの子の頭上から豆が降る、ってもんじゃない。流してる、しかも黒豆。

「ひぎゃ、いいいい、いたい!!痛いじゃろて!三橋の!!黒豆、痛い!」

「お前なんぞソレで充分だ。鬼と一緒に追われてしまえ、阿呆め」

「馬鹿でも阿呆でもないわ。バチ当たり狐め、ばぁー、いたっ、ごめんなさい!」

顔が変形するぐらい抓られるのは嫌だな、うん。

「美鶴、さすがにそれは痛いと思うよ」

「年長者の教育的指導だ」

「あー、多分。今ソレ、僕らンとこでは問題アリだから。訴えられるよ」

ハァ?と不機嫌そうに顰めっ面されても、現代、今の世論はそうなのだ、人の世界では。
美鶴の手が緩んだ瞬間、だぁっと掛け声勇ましくするりと逃げだしたチャイナ。

「もういいわな、三橋のばか狐ッ!折角吾がの、」

「知ってる。だからこれはその駄賃ってとこだな、風花」

かざばな。いい響きだな、と思った時にざぁっと、ひと際強いつむじ風。
ひょいひょい、と巻き上げられた白い豆。

「あらぁ!化かされた。こりゃ白い豆じゃぁ!」

舞い上がる、粉雪。からからと笑う中国風の童子。

「俺は一言も黒豆とは言ってない、間抜けめ」

悪態を口にしている割に、美鶴の顔に笑いが滲む。
粉雪と陽の光が混じって眩しくて、眼を閉じてしまった一瞬に見失う姿、残る気配。

鬼さんこちら、手の鳴る方へ
鬼さんこちら、手の鳴る方へ


あ。


「目隠し鬼」

ふいに、思い出す。

「待ってるんだ、奴等はさ。自分と遊んでくれる相手を」

ナニガ、とは聞かなかった。
この遊びは鬼の方が手の鳴る方へ、捕まえに行くんじゃなかったか。

「良かったなぁ、亘。待つ番にならなくて」

「でも僕は鬼のまま、ってことだよ」

何も鬼は異形でなくたっていい。カタチはそれ程重要じゃないと思う。
だって、人は何にだってなれるじゃないか。
一番怖いのは、

「あだっ!!!」

漫画的表現だとおでこのあたりから、しゅぅぅぅぅって擬音語が出てると思う。痛い、本気で痛い。

「今日は鬼やらいだからなァ。鬼はそと鬼はそと。祓ってやる」

え、うそ。大豆って凶器だったっけ?というか、大豆から逃げ回る自分は間抜け過ぎて御免だ。

「そういや、あのこ黒豆はだめって言ってたけど、何で?」

「黒豆だと祓えないからな。鬼やらいの豆は白いだろう?でもまぁ、一番の理由は白い豆の方が美味いからだな」

「はぁ」

その一番の理由が一番胡散臭い。
嘘かほんとか分からない。美鶴は天の邪鬼だから。
名残の粉雪がはら、と降りてくる。

「駄賃のついでに陸奥に送ってやったのは、充分過ぎたか」

「ねぇ、あのこ、なに?」

「雪鬼だよ」

左様ですか。鬼ですか。

「人に仇なす鬼あらば、人を佐く鬼あり、ってなァ」

まぁ、人も鬼もみんな違ってみんな、いいってあれ?なんかあったね、そのセリフ。

「え、もしかして!あのこ、ナマハゲの子供!?」

「いや。鬼に化けた雪の精」


・・・・・・、紛らわしい!!!

 

 

 

 

 

 


 

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