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調子のいい拍手に合わせて、唄われる囃し歌。
思い出せそうで、思い出せないのがなんとなく気持ち悪い。
そもそも僕はこの歌聞いたことあったっけ?
鬼さんこちら、手の鳴る方へ
鬼さんこちら、手の鳴る方へ
それにこれ、なんの遊びだったっけと考える僕の鼻の頭にひやり、とした感触。
あ、雪。と、思ってぴたりと足を止める。
そうして僕ははて、と首を捻る。
晴れているのに雪が降るなんて。
でも、これは降るって感じじゃないんだよなぁ。晴れているのに雨が降るのは狐の嫁入り。
じゃぁこれは、狐の婿取りとかなんとかなのかしらん。なんてね。
「なんでも狐をつければよかろうもんじゃなかろ?」
とん、と僕の眼の前に降ってきたザ・チャイナな男の子、でいいんだろうか。
人が降って来る訳もないので多分、人ではないと思うけど。
「おくれ、おくれ。豆おくれ。ヒトの仔、豆おくれ」
糸のような眼がさらに細まって、言い方は悪いけどあまり性格が良くなさそうに見える、ような笑い声をあげながらずずいっ、と掌を差し出す。
「黒はだめじゃ。白いの。白いのがいい。追うてやったじゃろ?じゃから白がいい」
「豆?なんでキミ達っていつも唐突なの。ないよ、そんなん」
言い方がきついかなとちょっと思った瞬間、コンマ前の僕に安心して、そんな気遣いいらないからと言いたい。
「ないないない。福はうち。鬼はそと。福はうち。鬼はそと、そとにいるのはナニ?」
いやだね、うん、いやな空気ですよ。ずもももも、なーんて擬音語がついちゃうぐらいなんか、チャイナから出てきてる(ような気がする)し!
しかもナニってアンタ、答え言ってるじゃんと突っ込むその前に。
「恩着せがましいのもいい加減にしろ馬鹿め」
鶴の一声、ならず美鶴の一声。
ばらばらばらばららら、とチャイナの子の頭上から豆が降る、ってもんじゃない。流してる、しかも黒豆。
「ひぎゃ、いいいい、いたい!!痛いじゃろて!三橋の!!黒豆、痛い!」
「お前なんぞソレで充分だ。鬼と一緒に追われてしまえ、阿呆め」
「馬鹿でも阿呆でもないわ。バチ当たり狐め、ばぁー、いたっ、ごめんなさい!」
顔が変形するぐらい抓られるのは嫌だな、うん。
「美鶴、さすがにそれは痛いと思うよ」
「年長者の教育的指導だ」
「あー、多分。今ソレ、僕らンとこでは問題アリだから。訴えられるよ」
ハァ?と不機嫌そうに顰めっ面されても、現代、今の世論はそうなのだ、人の世界では。
美鶴の手が緩んだ瞬間、だぁっと掛け声勇ましくするりと逃げだしたチャイナ。
「もういいわな、三橋のばか狐ッ!折角吾がの、」
「知ってる。だからこれはその駄賃ってとこだな、風花」
かざばな。いい響きだな、と思った時にざぁっと、ひと際強いつむじ風。
ひょいひょい、と巻き上げられた白い豆。
「あらぁ!化かされた。こりゃ白い豆じゃぁ!」
舞い上がる、粉雪。からからと笑う中国風の童子。
「俺は一言も黒豆とは言ってない、間抜けめ」
悪態を口にしている割に、美鶴の顔に笑いが滲む。
粉雪と陽の光が混じって眩しくて、眼を閉じてしまった一瞬に見失う姿、残る気配。
鬼さんこちら、手の鳴る方へ
鬼さんこちら、手の鳴る方へ
あ。
「目隠し鬼」
ふいに、思い出す。
「待ってるんだ、奴等はさ。自分と遊んでくれる相手を」
ナニガ、とは聞かなかった。
この遊びは鬼の方が手の鳴る方へ、捕まえに行くんじゃなかったか。
「良かったなぁ、亘。待つ番にならなくて」
「でも僕は鬼のまま、ってことだよ」
何も鬼は異形でなくたっていい。カタチはそれ程重要じゃないと思う。
だって、人は何にだってなれるじゃないか。
一番怖いのは、
「あだっ!!!」
漫画的表現だとおでこのあたりから、しゅぅぅぅぅって擬音語が出てると思う。痛い、本気で痛い。
「今日は鬼やらいだからなァ。鬼はそと鬼はそと。祓ってやる」
え、うそ。大豆って凶器だったっけ?というか、大豆から逃げ回る自分は間抜け過ぎて御免だ。
「そういや、あのこ黒豆はだめって言ってたけど、何で?」
「黒豆だと祓えないからな。鬼やらいの豆は白いだろう?でもまぁ、一番の理由は白い豆の方が美味いからだな」
「はぁ」
その一番の理由が一番胡散臭い。
嘘かほんとか分からない。美鶴は天の邪鬼だから。
名残の粉雪がはら、と降りてくる。
「駄賃のついでに陸奥に送ってやったのは、充分過ぎたか」
「ねぇ、あのこ、なに?」
「雪鬼だよ」
左様ですか。鬼ですか。
「人に仇なす鬼あらば、人を佐く鬼あり、ってなァ」
まぁ、人も鬼もみんな違ってみんな、いいってあれ?なんかあったね、そのセリフ。
「え、もしかして!あのこ、ナマハゲの子供!?」
「いや。鬼に化けた雪の精」
・・・・・・、紛らわしい!!!
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