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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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ちょっとしたことに傷ついて、そのはずみでそんな気ないのに人を傷つけてしまったら。
きっと立ち直れなくなるとは思うんですが・・・・!
少し傷ついても、笑い飛ばせるぐらいに、まぁ仕方ないかと割り切れるぐらいには、なりたいものです。

普段何気ない会話で、とっさにでる一言で、人を傷つけてないか?

でもそれは、きっと自分では気付かなくて、気付きたくなくて。
「傷つけたくない」人ほど、甘えて傷つけてるのかなぁ・・・・と思ったりして。
人と自分の距離ってどうなんだろう?
どこまでが、許容範囲?
もう少し、あと少し、近づいてみたらどうだろう?とか。

でも。もし、もしも。

それが相手にとって迷惑だったらとか?とか。
考えるとキリがない。
気持ちだけ空回りして、自分が本当はどうしたいのか解らなくなることはありませんか?

そんな自分に、あせってみたり、ね。
私は、そんなのばかりですが。

そんな突発的な思いから。
美鶴さんと、叔母さんのお話を書いてしまいました。

器楽曲補足:狂詩曲(ラプソディ)・・・・物語風なものが多く、速度や曲想の変化の激しいものが多い。

こどもたちの狂詩曲(前)



きっかけなんて、きっと単純で。
だって、そんなつもりじゃなかったとか。仕方ないよね、とか。
言い訳を並べたらそれこそ、今のあたしは売れるぐらいには並べられると思う。

でも。
言い訳ばかりでは仕方ないから。
シンデレラの時間に間に合うように。
 
ほら、そこの。
ふて腐れたこどもの手をあたしは、取りに来た。

「あら、コンバンハ。いい夜ね?お嬢さん。お迎えにあがりました」
「俺は、お嬢さんじゃないし。『飲み物買ってくる』て言ったと思うけど」

「そうね」

 
鬱陶しそうにそっぽを向く。ほら、このお嬢さんは可愛くないの。
口が悪くて、愛想も悪くて、ね。
並みのおとなじゃ手に負えないんだから。
 
だけど、あたしは。
このこが、いいの。

「美鶴、ちょっといい?」
「なに?」
 
むにににににぃ、とほっぺたを抓る。
 
「にゃ、な、にゃにすんの、叔母さん!!」
「こんな時間に近くとはいえ、やめなさいよって言ったよね?外に出たからね。あたし、怒ってるんだからね?」
「な、」

「さ、帰ろう?お祝いしてくれるんでしょう?」


何かを、何処かを求めて。
でも、ひとりでは、辿り着けなくて。
こどもたちは、それでもあきらめずに、途中、大事な存在に出逢って。
そうして、自分たちの居場所を見つける。

『叔母さん、今日は早く帰ってくるの?』
『うん、金曜日だし早く帰ってくるよぉ、大分アヤとか、美鶴にサミシイ思いさせたもんねぇ?』
『亘が、今日夕飯作るって』
『ちょっ、スルぅぅー??わぁい、じゃ、早く帰ってくるから!』
『おねぇちゃん、早く帰ってくる?』
『うん!!』

うん。覚えてるよ、もちろん。今朝の他愛無い遣り取り。
 そうして、一日が始まって、なんとなく終わる。
そんな、一日になると思ってた。

     「ちょっと、今夜いいか?」

これも。
朝の早い時間に言われた上司からの一言。
約束、を。
忘れていたわけじゃないの。だけど、だって、仕方ないじゃない。
あたしにだって、会社の付き合いがあるんだから。
 
ようやく、あたしの企画した特集が雑誌のメインに取り上げられたんだよ?
上司に、付き合えって言われたら断れないよ。
 
だって、社会ってね、会社ってね、特に。
 
タテとヨコの繋がりって大事なのよ?今後のあたしの仕事にも関係してくるんだし。

――――いやなおとなだね、あたしって。
 
上司や、今日初めて会う顔も知らなかった「お付き合いしておいて損はない人」とのオモシロクもない食事や会話の合間に。
そっと、バッグの隙間から。
 
    鳴る事も、揺れる事もさせなかった携帯が、控えめに。
 
ちか、ちかと。
 
時折、あたしを責めるように控えめに灯かっていたのを、あたしは見なかった事にして自分を誤魔化して。
味のしないお酒をただひたすらに、口に運んでは流し込んでた。
なんとか、帰ることが出来たのは後一時間程で日付けが変わる時間。

よかった、シンデレラにならなくて。
 
無駄に、明るく。アヤ、起こしちゃうかなとは思ったけども。
結構大きな声で(いつものことだけど)扉一枚向こうのこどもたちに声を掛ける。
 
「たぁだぁいまぁぁぁぁぁ!ごめん、ちょっと抜けれない付き合いがね、」
 
リビングに灯りが点いてないけど、ほのかに明るい。
あれ?なんでだろう。
美鶴がまだ起きてるのかなぁ。
 
・・・・・・・亘君は、さすがに帰っちゃったろうなぁ。
 
かちゃり、と扉を開けてぱちり、と電気を点けようとして。
 
あたし、びっくりした。
 
ほのかにそこ、ここに置かれた小さなキャンドルの炎が揺れる。
ダイニングテーブルの上に載ったラップが掛かった、たくさんのご馳走。
あたし、が好きなものばっかり。
 
「え、うそ、これ」
「おかえり、叔母さん」
 
ダイニングテーブルで、突っ伏していた美鶴と眼が合う。
寝てる、と思ったのに。
  
キャンドルに紛れて。
 
同じぐらいにぐるり、と机の上に置かれたグラスの中に浮かぶ花のアタマのみのガーベラたち。

    グラスの中にはガーベラが水中花のようにゆらり、と揺れている。
 
ぼうぅっ、とひとつのキャンドルの炎が一際伸びた先に、美鶴の顔が在る。
表情は、見えないけども。
 
ひどく、無機質な声が降ってくる。
 
「これ作ったり、用意したの亘だよ、叔母さん。当の本人はあそこ。アヤと待ちくたびれて、寝てる」
「そんな、あたし、」
「こないだ言ってたお祝い。びっくりさせようってさ」
 
美鶴の口から、淡々と紡がれる言葉たちにあたしはどうしていいかわからずに。
自分の、都合のいいように。
 
――――――逃げる、無駄なのにね。
 
「もうっ、朝にそう言ってくれればあたし、帰ってきたのに!」
「電話、したんだけど。仕事だったみたいだね」
 
うそつき。美鶴の、うそつき。
きっと、知ってる。だって、あたしお酒かなり飲んだから。
自分がどんなにお酒臭いかよく、解る。
 
「あ、明日!明日食べるから!せっかく作ってくれたんだもん、無駄にはしない、から」
「ふぅん、明日。むだ、ね」
「何?ちゃんとあたし食べるって言ったじゃない!」
「いいんじゃない?明日で。俺たち、待つだけ無駄だったけど」
「え?食べて、ないの?」
 
そう言えば、いやに綺麗にラップが掛けられて並んだ御馳走。
雑誌の中でしか見ない、飾られた綺麗すぎるテーブル。

    そうして、毛布にくるまってソファに眠るこどもたち。
 
「俺、飲み物買ってくる」
美鶴が、ひとつ息を吐く。

「こんな時間にだめよ!冷蔵庫にあるやつで、我慢すればいいじゃない!!」
「飲みたい物がないから」
 
だから、何なのよ?
いつもは、わかった、とか。はいはい、とか言うクセに。
ゆっくり、とあたしを横切る美鶴の顔が見れなくて。

乾いた唇から漏れる情けない自分の呼吸音が、鬱陶しくて。
だけど、あたしは止めなきゃいけない。
こんな夜中に例え、すぐ近くだったとしても。
夜中に、美鶴を外に出させちゃ駄目。
 
だけど、あたし今更保護者ぶるの?
あたし、「駄目なんだってば」ってあの子の手を引いていいの?
うぅん、あたしは手を引ける、の?
 
ぱたぁぁん、と静かに響く音が耳に残るのは、どうしてなんだろう?
 
いくら、歳を重ねたって。
いくら、身体ばかりがこどもからおとなに変わったって。
 
不甲斐無いあたしは、こどもにも戻れず、おとなにもなれずに。
 
         ただ、ただ。
 
あたしという存在を持て余して、途方に暮れていた。
 
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