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このブログは小説・映画の「ブレイブストーリー」の二次創作兼雑記ブログです。原作者様、各権利元関係者様とは一切関係ありません。
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うぅむ。(すいません!12/8・・・です)

現在、とある曲を流しながらこのSSを書いているんですが。なんとなく。
なんとなく、曲に流されていった気がする。

って、すみません!!!うーだっ、うーだっと書き直しを繰り返していたらこんなに日にちだけが経っていました・・・・!!(大泣)いや、あいつが・・・・こたつが!!!

悪いなんて責任転嫁などとは、・・・・・・・・してるけども。
いきなりですが。今回(も)結構、SSをどう纏めるか・・・・・かなり悩みました(って言うか今も悩んでいるとも!!)

そうして、おっやぁー??

だんだん、前・中・後じゃ収まりきらなくなってきた・・・・・!!
なので、こんな小賢しい手を打ってきましたよ・・・・・(でも、こんな事しても今回の項は纏まらないんだ・・・)

限界がある、うん。どうしよう???

嘆キノ壁ハ積ミ上ゲラレテ、ばっかだなぁ。
地味に連続して日記だけは書いて保存してあったので・・・・・

すいません、ぼそぼそと上げに来ます・・・・・・
あっれー、こんな日付に記事なかった!・・・・・・はい、正解ですので。

あの・・・・生暖かく見守って・・・・・頂けると・・・・・嬉しいです・・・・・
お節介な文中補足は明日(でもないけども!)に言い訳とともに、どかーんとまとめてあげます・・・・

  
狐草紙異聞ー桂男の項ー(中)美鶴の段


あかねさす 日は照らせれど ぬばたまの 夜渡る月の 隠らく惜しも

(あかねさす ひはてらせれど ぬばたまの よわたるつきの かくらくおしも)万葉集第2巻 柿本人麿



ぐぎぃぃいぃぃぃい、と呻く最後の一匹の断末魔が鬱陶しい。だらり、だらりと手をつたうどす黒い紅に、うんざりする。

          手が、汚れた。

自分の手が綺麗だなんて思ってもないけど。

だけど、自分の着物の朱に紅が雑じるのは、嫌だと思う。指先だけでも払うか、と思いながらふと足元に眼を遣る。そうして、気付かされる。

あぁ、今更、気にしたところで仕方ないじゃないか。

見渡せば一面に咲き誇る紅い紅い、地獄花。俺はその中に立ってるのだから。

しばらくは、血の匂いが残りそうだな。

聞きなれた啼き声に空を仰ぐと、ここにいるはずのない存在に思わず舌打ちがでた。
気付かなかった事、にできないだろうかとも思うけどすぐに諦めた。


先手を打つように金の翅を羽搏かせながらふわり、とこの地獄花が咲き誇る阿鼻叫喚の地に彼の鳥は降り立った。

「金翅鳥」
(これは、これは。また、随分と豪奢に咲かせたものだね)

「そうでもない。久しぶりだな、瑞花様は変わらず息災でおられるか?」
(あぁ、もちろんだとも。賢しいそなたのことだ、私がここに来た理由は解っているだろう?)

「そろそろ、ご機嫌伺いに渡ろうかと考えてたところだ」

そんな事、微塵にも考えた事はないが。

(ほぉう?だ、そうですよ。瑞花様)

あの御方のせっかちなところはなかなか治らないものだ、と思う。

「あまり、社を空けるのは気が進まない」
(なぁに、アヤカシどもも、進んで地獄花を咲かそうとは思わんだろう)

俺は了承とも、不満とも取れる溜め息を浅く吐き出した。

「四半刻。それ以上は御免だ」
「承知」

ばさり、と金翅鳥が両翼を羽搏かせるとぐにゃりと空間が歪んだ。
この歪みは何度経験しても、慣れるものじゃない。

*

随分、久しぶりにこの宮を訪れた気がする。
いくつもの殿舎を通り抜け、最奥の玉座の間がある紫宸殿に辿り着く。
やはりどこか、落ち着かない心持ちになるのは変わらないものだなと思う。

座礼で控えていると、玉座の御簾の奥が静かに揺れた。
きっと、ちくりちくりと痛いところをつかれるだろうから先にご機嫌伺いを奏上した方が賢いだろう。

・・・・・・と、思ったのだが。

「御久し振りで御座います、瑞花様。随分急なお召しで穢れを祓う事もできませんでした事、お赦し下さい。それで、俺になんのご用命があるのでしょう?」

思いがけず、不満がありありと解る物言いになった。

(美鶴、そなたの物言いを正すのはとうに諦めたが、もう少し挨拶の口上ぐらいは、)

「いいよ、金翅鳥。吾も無駄に長く堅苦しい口上に少しうんざりしていたところだ。それにしても、美鶴。そなたは相変わらずよな?」 

(瑞花様は、美鶴に甘過ぎで御座います)
 
金翅鳥がふぅ、と諦めた様に浅く息を吐き出した。
別に特にそんな風に感じた事もないが。

玉座の御簾向こう、脇息に寄りかかりながら俺を喚び出した御方は側女に命じて御簾を上げさせた。
 
「本当に久方ぶりだね。そなた、余程こちらには渡りたくないと見える。吾がそなたに最後に会ったのは、そうさな。まだ、殻が取れぬ雛の頃だったと思うが、違えたかぇ?」

「いいえ。そうですね、俺はまだ雛鳥に見えますか?」
「どうだろうな?少しはましになったんじゃないか」
「だといいんですが」
 
どうやら、中津国の創世の女神はご機嫌があまりよろしくないらしい。
檜扇に隠れてはいるけれども、その切れ長の眼がほんの少し苛立ちを含んだ色をしていたから。

「それでわざわざ金翅鳥を遣って迄、この雛鳥めに何の御用でしょう?」
 
戯けて言ってみると少しだけ、眼の端に笑みを滲んだ。
だけど、すぐにその笑みは消えてきゅっと口を引き結ぶと空を仰いだ。
短い逡巡の後。
女神は肩に流れる長い漆黒の髪を鬱陶しそうに払い、開きかけた口をまた閉じてだんまりを決め込む。

        こんな時は、待つしかない。 

それが一番いい対応だと言う事を永い間に身につけた。
しばらくぶりに会う女神は相変わらず尊大な態度で。
口が悪くて、酔狂で、奔放なところはちっとも変わってなさそうだった。

沈黙が 、煩い。

この宮は苦手だ。
昔の事を、嫌でも憶いだしてしまうから。 

あの日。
独り血の海で立ち尽くしていた俺に、手を差し出してくれたのはこの女神ただ、一人だった。

「神」と言う気紛れで、理不尽な存在に俺は
生まれて初めて感謝した。果、俺の願いと引き換えに結ばれた盟約に不満なんか、ない。

     そう。俺の願いが叶う迄、あと少しなのだから。

「そなたの妹御の、魂魄が盗まれてな」

昔のことを、少しだけ憶いだしていたから。
だから、女神がようやく吐き出した言葉がしばらく理解できなかった。
 
・・・・・ヌスマレタ?ダレノコンパクガ?
       
      「妹御の、魂魄が盗まれてな」

女神によって振り下ろされる、言霊。
その言霊は明確な悪意を持っているとしか思えない程に、俺を叩きのめした。

「は、」
「いや、正しくは獲り込まれたと言うべきか」

ぱちん、と檜扇を閉じた音がやけに大きく響く。
少しの間、時間と言うモノが止まっていたのかもしれない。
煩いだけの沈黙が、今度は息苦しさをも伴ってやって来た。

・・・・・・・・呼吸をしなくては、とぼんやりと思った。

「すまないと、思う。吾の手落ちだ。許せ、とは言わん。そなたにこれから下す勅命は解っておるだろう?」

エエ、ワカッテイマストモ。

「あやの魂魄と取り返せ、と。えぇ、もちろんじゃないですか、解っていますよ。じゃなきゃ、この中津国だけじゃない。現世も崩壊してしまいますしね」

自分の声が、遠いところから響くようだとぼんやり思った。 

女神が大きく眼を見開いた後、尊大に俺を見据える。
そうして、大仰に溜め息をついてみせた。

「間違いではないがな、美鶴。もう少し、言葉を選べんのかぇ?そなたの物言いは嫌いではないが、時に険があり過ぎる」
「何か間違ってますか?俺とあやは、貴方様が造ったこのセカイの為の人身御供じゃないですか。瑞花様」
 
女神より先に口を開いたのは、それ迄黙っていた金翅鳥だった。

(妹御の魂魄が盗まれたのは、お前が目覚めてすぐだ。この800年程はそなたと妹御の魂魄が境の結界を張ることでそれぞれのセカイは均衡を保ってこれた。そなたは要の御扉の番人の仕事も、とてもよくやってくれている)

金翅鳥がそこまで言って、口を噤む。
今更、何が言いたいのか。
それが俺と女神が交わした盟約なのだから、仕方ないじゃないか。
 
「目覚めてからずっと考えてた事がある。現世に、アヤカシが多過ぎるのは何故だ?俺が目覚めている間は、あやの魂魄で境の結界を張ってるはずなのに、だ。現世と中津国と常世の境が明確じゃなくなってきている」

(察しがいいとことろも、変わらんね)
「俺が目覚めてすぐに、何故教えてくれなかった?」

(我々、女神様の臣下が水面下で動いておったのだよ。この事を宮の中でも知る者は、少ない。内々に事を終えるはずだった)
「賊に『半身の御魂』が盗まれたとあっては女神の権威も地に堕ちるだろうしな」

先程から少しずつ、滲み出した怒りや不信感はどうしようもないぐらいに膨れ上がっていて、決壊寸前だった。
「否定はせんよ。その通りだ」
女神が俺に目線を据えたまま、静かに宣う。
 
(そろそろ口を慎め、美鶴。盗んで行ったのは賊だ。そなたの気持ちも解らんでもないが、怒りの矛先を違えるな)

このどうしようもない怒りをじゃぁ、どうしてくれる?
あや、は。あやは?

1000年後の盟約が終わるその時に輪廻の環に戻してやりたい。
ただ、1000年後の転生の際に見送ってやりたい。

不当に穢された魂魄を禊と再生の為に、俺は、あやと一緒に。

     人柱を受けた、んじゃないか。

あや、あや、あや、あや、あや、あや、あや、あや、
「美鶴」

女神が、玉座からゆっくり降りてくる。
あの日と同じ様にそのほっそりとした白い手で俺の手を取った。
だけど、俺は主のいない玉座を、ずっと見続けていた。
   
嫌だ。触らないで。
俺の手のひらは爪が喰い込んでうっすらと紅が滲んでいた。

「手を、離してください」

だって、汚いんだ。振り払っても振り払ってもすぐに紅くなるんだ。どうして、俺の手はいつまでも汚いままなんだろう。
 
じゃぁどうして、俺は女神の手を振り払わないのか。
女神は薄い小袿の袖口をび、と縦に裂いた。
 
(瑞花様)
「よい、金翅鳥。すまない、美鶴。気付いてやれなかった」
「は、」
 
小袿の切れ端をやわらかく俺の手のひらに巻きながら、じっと俺を見る女神の眼の色が、どこか戸惑ったように揺れていた。
 
      「そなた、泣きたかったのだな」
 
莫迦な事を、と笑おうとしたのに。どうやら、それは無理らしかった。
 
いつだって、俺は恐ろしかった。
独り取り残される恐怖、眠っていても、目覚めていても付き纏う紅い悪夢、果てしなく永い刻のその先の希望を待つ間にじんわり浸透し始める絶望。
 
それら全てをひとり抱え込むのに、随分と無理をしてきた。取り繕ってもきた、でも。泣く事は赦されなかった。
 
そうか、あの雨の日からずっと、俺は泣きたかったのか。

「どうやらそのようです。でも、俺はもう雛鳥じゃないから」

そう、親鳥を待つ雛鳥にはもう孵れない。
ただ、ほんの少しだけ。
今はこの手がとても優しいと思うから。
少し感傷に浸りたいだけだ。

莫迦なことを。
そう、自嘲じみた笑みがうまく創れるようになった頃。
 
――――あ、るじ。あるじっっっ。
 
響く、コエ。俺を呼ぶ、こえ。あぁそう、これは胡蝶の声だ。
しっかり、しろ。俺には、やらなければいけない事がある。
 
ぐ、と女神の手を握り返す。

あやの魂魄を。あやを、絶対に取り戻す。
「どうやら、出来の悪い眷属のお迎えに呼ばれたようです。昔、売ったウラミをまだ買いたい奴がいるので。申し訳御座いません、先にそちらを片付けます。ですが、必ず。勅命は謹んで拝命させて頂きます」

一気にそれだけ、伝えると女神に背を向けた。

「そなたの妹御の魂魄を盗んで行ったのは、五花。偸盗を幇助したのは桂男だ」

よく見知った綽名だった。

「な、」
 
「五花は吾が創世の際に打ち捨てた、もう一人の吾だ」
 
鉦が、鳴らされる。
幕が上がる。
その鉦は舞台の始まりを知らせるには、充分過ぎるぐらいに響いた。
 

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